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ハーフ円卓会議10
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(若輩の身なれば、貴方の考えを汲み取ることは叶わないけれど、きっと何か気高い理念の下動かれていると承知しております。このままでは変な汚名を被ってしまいます。どうぞ、何か仰ってくださいませ)
そんな思いをたっぷりと含めた視線に対し、返ってきたのは、それはもう能天気な笑顔だった。
「なに、屋内に引きこもって執務をこなしてばかりでは、息が詰まってしまうだろう? 定期的に外の空気を吸わなくては、カビが生えてしまう」
ガーン、とあからさまに衝撃を受けた顔を晒すギルヴィスの左方から、再び大きな笑い声が上がる。
「ほら見たことか。小僧は見る目がないなぁ」
「ロステアール王はロステアール王で、美化され過ぎでしょ」
赤の王を指差して盛大に笑う二人の王の言葉が耳に入っているのかいないのか。ギルヴィスの口から零れたのは、なおも赤の王をフォローする言葉だった。
「あの、しかし、視察とか、そういった、」
「いや、国内にいては、宰相や騎士団に捕まりやすいのだ。なにせ連中、私が逃げたとなるとそれはもう本気の策を練って追ってくるのでな。毎度毎度それを躱すのが楽しい。ああ、勿論旅自体も面白いぞ」
可哀想なことに、ギルヴィスの必死のフォローは、当の本人に呆気なく否定されてしまった。愕然とするギルヴィスを尻目に、黄の王も、うんうんと頷く。
「第一、視察でわざわざカジノに行く必要ないもんなぁ」
「え、あ、いえ、ええと、……それは、金銭の集まる場では情報も集まりやすいからとか、」
「いいや。脱走対策なのか、最近は私の個人資産まで家臣の許可がなくては手を出せない状況になっていてな。無断で出て行くと、ほとんど持ち合わせがない状態なのだ。そんなときに手っ取り早く滞在費を稼ぐとなると、私の強運を生かしてカジノで荒稼ぎするしかあるまい」
ギルヴィスのフォローを無下にしたのは、またしても赤の王であった。ここまで来れば、さしものギルヴィスも自分の方が間違っているのではないだろうかと思ってしまう。ぐるぐる混乱する頭をなんとかまとめようとしている子供の前で、しかし王たちの会話が止まってくれることはない。
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