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終話◇僕が視(み)える世界~一年後~
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僕が大学生になったのを期に
念願の同棲をすることになった。
まぁ、両親には“同居”と言ってある。
あくまでも、
“年上の友人”で通している。
本来はラブラブなカップルだけど。
一緒に住むと話た時、
両親は最初、驚いていた。
あの、骨折が治るまでと
決めていた“期間限定”ではなく
少なくとも僕が短大を卒業する
二年間は律希のマンションに住むということだからだ。
特に母さんが渋っていた。
律希の負担がとか家賃がとか。
そんな母さんを律希が笑顔で説き伏せた。
その時の“色”は……
あえていうなら“漆黒”だった。
”怒“でもなく“哀”でもなく
“呆れ”であった。
あんな“色”を出している律希を
見たのはあとにも先にも
あの時だけだった。
今は二人で夕飯の支度をしている最中。
『カナ、愛してる』
味噌汁の味噌を溶いている途中に
耳元で囁かれ、お玉の中の味噌が
塊のまま鍋の中に落ちた。
『い、いきなり耳元で囁かないで//////』
内心焦りながらも鍋の火は止めた。
『言いたくなったから
言っただけだよ(クスッ)
カナの返事は?』
平常心を保つのがやっとの僕と違い
律希は余裕の笑みを湛(たた)えている。
『愛してるよ、一生律希だけを』
この先、何があろうとも
僕達は愛しあっていけると思う。
『嬉しいこと言ってくれた
お礼にカナの好物を作ってあげるね』
夕飯のメイン料理はできているのに
僕のためにもう一品作ってくれるらしい。
一生愛してると言ったけど
一生頭が上がらなんだろうな(苦笑)
旦那さまは今日も
優しい“色”を纏っている。
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