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男が俺のことを好きだと言った。ついでに俺のカマを掘ってみたいと宣った。
俺は商品棚からスナック菓子をとっている途中で、右手に持ったカゴには炭酸飲料とコンドームとワイド版コミックが入っていた。俺はその場から脱兎出来ず、男を凝視する。
男は俺もよく知る人間で、しかしそんなことはどうでも良かった。俺はふざけようにもタイミングを逃したし、男は黙ったままだったし、ずらかるには何もかも白けた空気が流れる。
「えーっと」
「なんだよ」
「待て待て、そっちがいきなしさあ」
「お前、彼女と別れたって言った」
「ん、だから、束縛されない俺のこと羨ましいだろ、ヤだな気にすんなよジョークじゃん」
「それなに?」
男はカゴの中の薄ピンクの長方形の箱を指差し、俺を見つめた。
「……あ」
「使わないのに買うの?」
「使うかもしんねえじゃん」
「でも彼女、言ってたよ」
使いものにならないのはそっちで。
男は俺の股間を指差し、にたりと笑う。俺は冷や汗が吹き出して驚愕の言葉をかき集めたが、それは表現出来ずにパクパクと口が開閉した。
「だからさ、俺がそれ使えばいいじゃん」
「お前なんで、俺は」
彼女にすらごまかし通した。誰かに言えずにコンドームを買い続けて周りを騙していたのだ。
「精神的? もしかして機能の方?」
「俺はそんなんじゃないし、なあ」
「直接刺激すんだから上手くいけば、全部出せるよ」
俺は隠していた欲求を必死で出さないようにする。
「知ってたよずっと、中学まで部屋一緒だったじゃん、兄ちゃん」
俺のタンスに溜め込んだ未開封のコンドームの箱を知っているのだと、弟は買い物カゴを俺から奪い、レジまで俺の腕を引っぱった。
20090803
危ういのは兄弟の境ではなく、コンドームのイメージ。
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