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リクエスト10: アーヴィングとラーゲルクヴェストの嫉妬→甘々な話 1
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アーヴィングとラーゲルクヴェストの嫉妬→甘々な話
※ここまでの話の中で一番新しい時間軸です。
【side: ラーゲルクヴェスト】
その日、セグラドルの城の大広間では煌びやかな宴が行われていた。
ようやく落ち着きを取り戻したセグラドルを祝うためのもの。そして、支援してくれた同盟国へ感謝するもの。
そのため、様々な国の使者や位が高い者たちを招待していた。
そんな、中でーー
「陛下、あれをご覧ください」
「……ふむ」
我が番と会話している使者の者を、遠目に見る。
城へ来てから礼儀作法を習っている分、ロカの振る舞いはとても丁寧だ。
普段の元気良さを隠し、今日は淑やかに笑っている。
(私はいつものロカの方が好きだがな)
まぁ、上手く仮面を被っている様子に違った一面を見れたと喜ぶべきか。
隣で補助しているリシェは、相変わらず奥ゆかしく微笑んでいる。
開始してすぐ主要なところへ挨拶を済ませ、ロカと別れた。
本当は我々が着いていたかったが、他に挨拶ややるべき話等があるため別行動だ。
主要なところ以外の者に、愛しい番を紹介することもないだろう。
それに他国からもΩが来ている分、私がいない方がΩ同士の会話にも花が咲くと思ったが……
「どちらかと言うと、βやαと会話していることが多いですね」
「はぁぁ…まったく、お前の目の良さには常々感服する」
「ご安心ください。陛下への注意も怠っておりません」
「当たり前だ」
隣のアーヴィングは、昔から食えない男だ。
その細い目でどこまで見えているのか……いや、何を観察しているのか……
私と変わらぬ年齢で、若い頃から城に仕えている分前々から一目置いていた。
今となっては夜な夜な酒を酌み交わす仲だが。
(こいつだけは敵に回したくないな)
この男がセグラドルに、私の代にいて良かったとつくづく思う。
ロカとリシェにも警備は着けているが、宴の場だ。場の空気を壊しかねないと遠くから見張るよう指示している。
私は国王陛下という立場からこの男を隣に置いているが、流石は同盟国と言うべきか、代表の者は皆穏やか。
このまま何もなく終わりそうだ。
(私の代となってからの大きな宴は初めてだったが、大丈夫そうだな)
あぁ、仕事は仕事だが早くロカと過ごしたい。
会場は大半はβ、αも若干いる。
こんな中にロカを置いておくなど…早く時間が過ぎてくれぬか……
アーヴィングも恐らく同じ気持ちのはずだ。
いや、鼻が効かない分私以上か?
(こいつは随分嫉妬深いからな。閉じ込めておきたかっただろう)
リシェも城の者として仕えてる分仕事があるが、それでも見せたくなかっただろうな。
まぁ、リシェもロカも初めての宴。多くの者と会話して楽しんでいるようだ。
ここは大目に見てやるべきか……
「行くぞアーヴィング、次はあちらだ」
「はっ」
まだ用が残っているため、後ろ髪を引かれながらも足を進めた。
「…陛下」
「うむ……」
数人の挨拶を終え次の者の元へ向かう途中、どうしても気になり足を止める。
先ほどから、番の話し相手が変わっていない。
ロカとリシェの表情も柔らかく、恐らく脅しなどといった類のものではないだろう。
警備の者たちも、その表情から特には動いてないようだ。
だが……
(少し仮面が剥がれているのではないか?)
打ち解け始めているのか、やや素のロカが顔を出し始めている。
余程楽しい話をしているのか…どうなのか……
リシェの表情はわからないが、アーヴィングは雰囲気からして明らかに嫉妬している様子だ。
(……そうか。私も、嫉妬しているのか)
城の中は平和で嫉妬をする機会などなかったが、成る程。
私も嫉妬する心を持ち得ていたようだ。
番たちと楽しく会話しているあの男は、一体何処の者なのか。
気になって気になって仕方がない。
ーーと、
「っ、」
アーヴィングから息を飲む音が聞こえた。
「立ち話も疲れただろう」とでも話してるのか、会話している者が向こうのソファーを指差し2人を連れて行こうと手を伸ばす。
それにいち早く気づいたリシェが、ロカをやんわり押しながらその手に自ら捕まった。
(あぁ、まずいな)
リシェは、ロカの盾となる任をしっかり果たしている。
それは国王という立場では有難いが、ラーゲルクヴェストの立場ではそう言いづらい。
チラリと隣を見ると、細い切れ目は燃えるように彼らを見つめていて。
(用の残っている者たちは然程重要人物ではない。だから後にしているのだし)
それに、いい加減挨拶にも飽きた。
我々には彼らの方が何万倍も大切だ。
王妃を捕まえられなかったあの男は、リシェを掴んだままもう片方の手を再びロカへと伸ばすのだろうか?
ーーあぁ、それは酷く面白くないな。
「アーヴィング」
「はっ」
私たちの間に会話は要らず。
警備の兵が動く速度よりも速く、一直線にその場所へ向かった。
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