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「こんにちはー!」
「あ、リシェ様!」
「リシェ様、こんにちは」
「今日も元気そうですね」
よく晴れた昼下がりの、訓練場。
カゴの中には、兵士たちへの差し入れ。
あの日、医師にトラウマが無くなったことを話すととても驚かれた。
『念のため外部の医師には来てもらうから』と話をされ、後日その方にも診てもらったが、異常はないという結論だった。
『恐らく、今回の事件がいい方向に導いてくれたようだ。
〝荒治療〟ってところかな』
本来ならばちゃんと手順をとって乗り越えていくもののようだけど、もう大丈夫みたい。
アーヴィング様もとても安心してくれた。
それから、この話は兵士など城内全ての人たちに知らされて。
みんな本当に喜んでくれて、口々に『良かったですね』と言葉をかけてくれた。
あの日襲ってきた国の者たちは、宰相含む外交の方々が使えるところが無くなるまで使い尽くしたらしい。
僕に言えることは何もなく、王妃であるロカ様を襲ったことも大きいため今後の処遇は陛下へ任されるという話を聞いた。
(まぁ、僕が何を思ってもなんにもならないけど)
せめてしっかり、自分の身は自分で守れるようにしたいな……
無事通えるようになった訓練場で、兵士たちを眺めながら息を吐く。
今回の事件で痛感したこと。
もうトラウマも無くなったし、僕も剣を習おうか。
あんな大きな剣ではなく護身用の小さいもの。
守ってもらうばかりじゃなくて、僕もアーヴィング様やみんなを守りたい……
「リシェ、来ていたのか」
「アーヴィング様」
仕事がひと段落したのか、隣に座る長身。
彼ほどの腕はなかなか居ないだろうし、きっと頼めば解決なんだろうけど……
(たくさん心配かけてしまったし、この話はもう少し後のほうがいいかな)
今はまだ、この人の隣で静かに過ごしておこうか。
もう間も無く世継ぎが生まれようとしている、賑やかになる一歩手前のセグラドルの城内。
その一角にある訓練場では、今日も綺麗なΩが幸せそうに笑っていた。
〜fin〜
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