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リクエスト12: リシェの懐妊の話 1
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リシェの懐妊の話
※リクエスト6-2後の時間軸です。
【side: リシェ】
「……ん、ぅ…」
(ぁれ、また……)
最近、何故かとても眠い。
何もしてないし普通に生活してるはずだけど、気がついたら寝てしまっている。
(疲れが溜まってるのかな)
手から滑り落ちていた本を拾い、ソファーでぐぐっと背伸びをした。
僕は変わらず補佐として、少しずつ仕事に復帰するロカ様を支えている。
陛下とロカ様の子は順調に育っており、掴まり立ちの期間を終え今はとにかく歩きまわりたい時期のよう。世話をする侍女たちが目を離した隙に何処かへ行ってしまっており、いつもてんてこまいの様子だ。
他国のことも大分わかってきたし専門用語も覚えてきた。今は政治や国同士の関係・セグラドルの立ち位置について話し合いの場を見学したり、国の象徴として民に挨拶をしたり。
そんな仕事をこなしている毎日で。
(うーん…思い返しても別に変わったことはしてないな……)
それなのに、何でこんなに身体がだるいんだろう?
眠気とともに何故かだんだん気怠くなってきてる身体。
熱はないし異常もないんだけど、妙に身体が重い。
医師に言った方がいいかもしれないけど、でも本当になんともないしな……
アーヴィング様へも、変に言うと過保護にされてしまうし。
決定的な体調不良のような症状も無く、ただただ眠気と気怠さがずっと続く不思議な感覚。
次の休みは、自分で目が覚めるまで思いっきり寝てみようか。
「よし、そうしようかな」
もうすぐロカ様と宰相の方と3人で話し合いがある。
ロカ様の民への挨拶と、世継ぎの子の報告をどう言うのかの段取り。
挨拶をする場所に関しても案を出さないといけない。
そろそろ時間だなと立ち上がり、予定の部屋へ向かった。
「…シェ、リシェ、リシェっ」
「ん……ぁ、え」
ハッと気がつくと、こちらを覗くふたつの顔。
「っ、すいません!」
「うぅん、大丈夫だから謝らないで」
サァァッと血の気が引いて、思いっきり頭を下げる。
(嘘、今までこんなことなかったのに……!)
勉強の時・会議の時・その他いろんな場面でも、眠りこけるなんてことは一度もなかった。
どうしよう、なんで? 全く記憶がない。
やっぱり…医師に相談したほうが……
「お疲れでしょうか? 私もリシェがその様になるのを初めて見ました」
「本当に、すい…ませ……」
「ふふ、いいえ。
少し休憩しましょう。私が準備しますので、おふたりはこのままお待ちください」
カタリと宰相の方が席を立ち、部屋を出ていく。
「リシェどうしたの? なにかあった?」
「ロカ、様……」
自分で自分が分からず混乱する僕の手を、ぎゅぅっと握ってくれる。
「最近上手く寝れないとか?」
「いいえ、睡眠はしっかり取ってます」
「食事は? ちゃんと食べてる?」
「はい」
「運動……は、いっつも子どもと遊んでくれてるね」
「はい、本当に何もないんです…けど……」
いつも通りのはず。特別何かをしてる訳じゃない。
なのに、なんで無意識にこうなってしまうのか……
「なんか症状とかはある? 体調不良みたいな」
「いえ、そういうのも全然ないんです。
ただ眠気と気怠さが……」
「………え、〝眠気〟と〝気怠さ〟?
そ、それって…もしかしてーー」
「おふたりとも、机を片付けてくださいね」
驚いたようにロカ様が何か言いかけるのと同時に、宰相の方がお盆片手に戻ってきた。
「紅茶に牛乳を入れてきました。甘くなるので少しは気が和らぐかと」
「お気遣いありがとうございます……」
「いいえ。王妃様、こちらに置きますね」
「ぁ、うん、ありがとう」
「リシェも。温かいうちにどうぞ」
コトリと目の前に置かれたカップ。
茶色の液体から出ている湯気からは、牛乳の溶けた匂いと紅茶の匂いが合わさってしてきて、とても美味しそうでーー
「ぅぐ、っ」
思わず、両手で口を押さえた。
(ぁ、れ)
胃液がどんどん競り上がってくる感覚。
一気に気分が悪くなり、口の中が酸っぱくなってくる。
(なに、なにこれ?)
わからない。
けど、多分この紅茶の匂いが…本当に気持ち悪くてーー
「リシェ!!
なにか袋……吐いてもいいものを!」
「すぐお持ちします!それから医師もすぐに!!」
「お願いっ!」
どうしよう、吐きそう、きつい、辛い。
突然の身体の変化に耐えながら、じんわり涙が浮かんでくる。
「リシェ、もうすぐ医師が来るからね。大丈夫だから。
横になったほうが楽だと思うけど、あのソファーまで少しだけ歩ける?」
「ぅ……っ、は、ぃ」
「ん、いい子」
背中をさすってくれるロカ様にもたれかかりながら、なんとか立ち上がりゆっくりと進んだ。
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