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両親はαとΩ。恋愛結婚だった。息子の俺から見ても仲睦まじく、お互いを大切にしていた。
だから……
少しだけ期待をしていたのかもしれない。
「あんた、特異体質らしいな。血液を調べさせてくれ」
純粋なαと純粋なΩのみの世界。
両親の性が違い、生き残っている者はほとんど存在しない。
俺の存在は異質らしく、血液だけではなく、色々と調べられた。
パートナーとなったαとΩは試しに半年、一緒に過ごす。その間に妊娠の兆候が見られたら、期間は続行。不仲であったり、気が合わなければ、トレード。
αがΩを乱暴にして、脳波や心拍数に異常があれば、すぐに職員が部屋に入ってきて、施設を追い出される。
つまり選ばれたからと言っても、そこてハッピーエンドではない。
少なくなりすぎた人口をこれ以上減らさない為、Ωに選択権があり、優遇された。
**
残念な事に、いつまで経っても呼び出しはかからなかった。その子がαの部屋を見に来る事もない。
選ばれないと暇だな……
経験した事のない無意味な時間と退屈。娯楽も何もない。毎日、テレビを見る位。
一生、一人で生きていく覚悟をして、まだ仕事をしている方がマシなんじゃ……
ここを出て、元の生活に戻ろうか。そう考えていた時だった。
「部屋から出ろ」
諦めていた頃に俺の順番がきた。
「まぁ、せいぜい相手に嫌われないように気を付けな。俺はルーザー。君達の監視員だ」
俺より一回り上の威圧的な男。多分、αだろう。
ルーザーが先頭に立ち、左右に職員。腕を取られ歩く。
犯罪者が連行されているようだ。仕方ないか。他にも何人かΩがいるらしいし、αが暴走すると面倒な事になる。
シャンデリアに華美な装飾品。どこかで見たような絵画、高そうな壺やオブジェ。
Ωの居住スペースは豪華な造り。こうも差があると落ち着かない。
「αの君には毎日、朝昼晩、α用の抑制剤を服用してもらう。これは施設の職員が必ず立ち会う。フェロモン数値は毎回、検査。異常がなければΩと接触できる。Ωが望めば、長時間の滞在、宿泊も可能だ」
移動の途中で、色々説明を受けた。
「Ωの名はルーク。彼はお前の前に、αを五人も断っている。遺伝子レベルの相手をだ。少し変わり者だと思うが、くれぐれもΩに負担を与えるなよ。寝室も含め、監視カメラが入っている事を忘れるな。乱暴にしたり問題をおこせば、すぐにここを追い出される」
『変わり者』普通、言うか? なんか嫌な奴だな……
ルーザーは角の部屋を指さした。
でも、αを立て続けに五人も断るなんて。よっぽど好みがうるさい……? それとも……
「温度よし。フェロモン濃度基準値内」
検査を済ませ、扉の前に立つ。
「Ωに会う事自体、久し振りだと思うけど……ルークはαが苦手みたいだ。がっつくと嫌われるぞ? 失敗=(イコール)即退去。気合い入れろよ。健闘を祈る」
冷やかすみたいに言われて、なんだか面白くない。
「この部屋の奥にいる」
そう言われ扉を開けた。
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