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定時直前になって食品部門の営業さんが駆け込んできた
「すみません!先週メールでお願いしていた書類が急遽明日までに必要になって…!」
「え、明日…ですか」
詳しい事情を聞く前に営業さんはどこかに行ってしまった
聞いたところで状況は変わらないんだけど
残業が確定し、部屋の空気が重くなる
最初に口を開いたのは鈴木さんだった
「グチグチ言っていても変わらないので始めましょう
園田君、もう一度必要書類の確認して
白井君は営業部からの書類を人数分コピーと審査項目のリストアップお願い」
「あ、あの、その前にちょっと電話してきてもいいですか
家で恋人が待ってるんですよ
書類のコピーもついでにやってきます」
「「行ってらっしゃーい」」
ドアを閉めると
「ついに同棲始めたんですかね」
「いいから始めるよ」
という声が聞こえてきた
歩きながらスマホを操作して蓮の番号を探す
prrrr
『もしもし?』
「もしもし、俺だけど」
『う、うん。』
「残業になった
今日は帰れるかわからないからうちに泊まって
一人でも飯はちゃんと食べて」
『うん』
「今日は何してたの?」
『大学のレポートやった
あ、あと冷蔵庫が空だったから買い物行った…けどメイワクだった?』
「迷惑じゃないよ
土日に買いだめするのすっかり忘れてた、ありがとう」
『ううん』
「じゃあそろそろ行くね」
「あ、うん、…頑張って」
「ありがと、頑張る」
電話を切って書類をコピー機にかける
早く帰れるように気合を入れなおした
「「「おわった…」」」
書類がすべて揃ったのは午前4時
夕食すら食べる時間がなく、結局栄養ドリンクだけで過ごした
「今日休みでいいですか?」と聞いたのは園田さん
日付を一時間以上またいで残業したときは休みが取れることになっていた
鈴木さんが一つあくびをしてから言う
「お疲れ様
2人とも仮眠とったら、帰宅して大丈夫です
私は朝一で打ち合わせあるからこのまま残って打ち合わせ出てから帰るよ」
「あ、俺も新人と顔合わせがあるのでこのまま残ります」
「え…そしたら俺も残ります
手付いてない今日の仕事の分終わらせたら帰るので残っていいですよね?ね?」
園田さんの必死ぶり(?)に押されて全員でこのまま残ることにした
仮眠をとる前に蓮にLINEを入れるとすぐに電話がかかってくる
「ちょっと電話してきます」とだけ伝えて24時間明かりのついている自販機の前のベンチに向かう
蓮の眠そうな声につられてあくびが出る
3分も話さずに電話を切りオフィスに戻ると2人も眠気の限界が来ていた
比較的設備の整った仮眠室に行き、それぞれカプセル状の個室に入って寝た
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