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「俺に相談しなかったのはどうして?」
「浩太は、優しいから、辞めていいって言うと思った。」
「優しいと、だめなの?」
「うん
優し、から、甘え、て、でも、それ、だめ」
言葉にならない言葉を必死に紡いでいく蓮を心から守りたいと思った
そして以前からずっと考えていたことを蓮に打ち明ける覚悟をして向き合った
一呼吸おいてから話を切り出す
「蓮、絶対に今言う事じゃないけど…………
同棲しよう」
「……え」
「蓮の生活が厳しいからじゃないよ」
「じゃあ、なん、で」
「こんなにも蓮が苦しい辛い思いをしてることを俺は知らなかった。蓮は言葉にするの苦手だから、俺が気づいてあげなきゃいけなかったのに、全然気付けなかった。
忙しいと何週間も会えなくなってお互いに辛くなるし。
……何より俺が一緒に住みたいし守りたい」
「……うん」
「一緒に住んでくれる?」
「う…ん」
「早く引っ越ししような」
しばらく間抱き合った後、蓮がおもむろに口を開いた
「もう一個話があって」
「うん。何でも言って」
「家庭教師のバイトしてる会社が新しく塾を開校するからそこで社員にならないかって。社員さんから言われて」
「うん」
蓮の就活はうまくいっていない
最終学歴は大卒になる予定なのに、高校を転学し通信制高校を卒業した経歴や、精神科への通院歴を突っ込まれて「そんなんで仕事できると思ってるの?」とか「パニック障害?とかよくわかんないし、甘えてんの?」とか面接官からの集中砲火を受けて帰ってくる
当然結果は不採用でいまだに二次面接にすらたどり着いていなかった
このままでは全滅もあり得る
「9月から二か月研修やって問題なかったら社員として雇ってもらえるって
前向きに考えてくれるなら今度詳しく話するって言われた」
「そっか。蓮はどう思うの?
その会社に就職したいって思える?」
「うん、教育に少し興味あるし」
「なら詳しい話聞いてみたら?」
今まで蓮からバイトのことや就職のことを相談されることは珍しかった
一人でたくさん考えて悩んで出した答えを報告されることの方が多い
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