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「ぼくね、ダメだから、嫌われちゃうの」
「蓮」
「ん、ぅ?」
もう一度ぎゅっと抱きしめてキスをする
嫌いになるなんて一言も言った覚えはないし、誰に頼まれても嫌いになるつもりもない
「なんでダメって思うの?」
「かいしゃがね、ダメっていった」
「それは会社がもうやっていけないよ〜って言っただけで、蓮がダメってことじゃないよ」
「うう、ん」
「今の経済がストップした世の中じゃ、俺だっていつ切られてもおかしくない」
「……」
「だから蓮が採用取り消しになったのも、蓮のことがダメなやつだから取り消しになったんじゃないんだよ」
「…」
「それとね、さっきから嫌われちゃうって言うけど、俺は蓮のこと嫌いにならないよ
今まで出会った人の中で蓮のことが一番好きだしこれからもずっとそうだから。」
「んっ…」
「だから離してって言っても離さない」
力を込めてもう一度強く抱きしめる
触れるだけのキスをしてからずっと思っていたことを口に出した
「蓮が卒業したら結婚しよう」
もっとちゃんとした場所でちゃんとした格好で言うはずだったプロポーズ
だけど今しかないと思った
指輪も婚姻届もないプロポーズにはなんの現実味もなくて、ただの口約束になってしまうけど。
「ぼくと?」
「うん」
「こうた?」
「そう」
「でも、おしごとない」
「俺が養うよ
仕事が見つかるまでは家にいておかえりって出迎えてほしいな」
「ほんとに?」
「うん」
いきなりの言葉が信じられないようでほっぺをペタペタと触って現実であることを確かめている
「蓮は俺と結婚したい?
してくれる?」
「ぼくね、いまうれしい
わかんないけど、ずっといっしょなの、うれしい」
「よかった…」
「ぼくも、ね、おとうさんのとこいく」
「うん
一緒に行こう」
こうして俺たちの結婚は決まった
ちなみに蓮の幼児退行は徐々に落ち着いていき、一週間したころには医者にももう大丈夫だと言われた
相変わらずべったりだったけど、仕事中はいい子で待っていられるようになった
どうしても離れない時は泰介さんに来てもらうこともあったけど、それも片手で収まるくらいの回数だけだった
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