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すぐに戻ってくる予定だが、万が一起きてしまった時のために置き手紙をする。
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オフィスで用事を済ませたらすぐに戻ってくるよ。
どこにも行かないでいい子で待ってて。
何か欲しいものがあったら電話してね。
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35階から22階まで降りて総務部のオフィスに戻ると、「白井が社内一のマドンナを振った」と「白井が未成年らしき少年を連れていた」と言う噂が飛び交っていて、全員から一瞥された。あの人が社内一のマドンナと言われていることなんて知らなかったし、蓮以外に興味がない。
ヒシヒシと視線を感じながらもデスクに辿り着く。社内外の来客・打ち合わせが多いからと、総務部の一角でありながらも壁もドアもしっかりとあるこの部屋は社内で唯一の素の自分を見せられる場所でもある。
園田さんが、「振り方には気をつけた方がいいよ、刺されないようにな」と声をかけてきたが、それを無視して佐藤くんに指示を出し、ノートパソコンやファイルなど、書類仕事ができる一式を持って鈴木さんと一緒に再び外に出る。
エレベーターを待っている途中、急に
「蓮くんは大丈夫ですか。」
と聞かれた。
「あのテロがあってから立て続けに良くないことが重なっていて…。正直リモートの方が僕的には安心なんですが、打ち合わせも多いしそう言うわけにも行かないですしね。」
「蓮くん、娘と同い年なんです。娘もテロのせいで内定がなくなってしまって、完全に心が折れてしまっているんですよね…。」
「蓮はもしかしたらうちの会社に入るかもしれませんが、そう言う人たちばかりではないですよね。」
「ええ、家に篭りっぱなしになって卒業も怪しいようですし、妻が家にいるとはいえ、私も休職して側にいてやりたいんだけど…」
「今年度卒業・入学・就職の人たちはやっぱり、辛いだろうな」
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