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今日から貴方がご主人様 No.3
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ちょっと状況整理しようか。
今まで幼子程の語彙力しかないと思っていたキョンシーが、大人と同等の話し方で独占欲丸出しのセリフを吐き、俺を後ろから抱き締めている………………
わけわからんな。
「もうさ、百歩いや、千歩譲って俺がお前のもんであるっていうんは認めるわ。所有印つけられたし」
「潔いですね志麻くん。こっちがびっくりするわ」
「まぁな。変なことに巻き込まれるんは初めてやないし。そんでさぁ、
お前喋れるやん!何で昨日と今朝はあんな赤ちゃんみたいな言葉使ってたんよ!?」
「そこツッコみます!?!?
え、なにこの人。ちょっとそこの二人、そらるさんとまふくんやったっけ?志麻くんていつもこんな感じなん?」
『あー、多分志麻さんは幼い頃から幽霊とかそういうの見えてたからさ、思考が人と少しずれてるって言うか………うん』
『それより、僕も何でセンラくんが喋れるようになったのか教えて欲しいな?』
なんかディスられたんやけど。だって仕方ないやん、この所有印もう消えんのやろ?そこで消す方法考えても無駄やんか。なら、他にツッコむべきは言葉やん。
「俺も気になるなぁ、センラ」
「ちょっと長くなりますけどね。昔々のことですよ」
──────────────────────
まだ魑魅魍魎が町を闊歩していた時代。センラは赤ん坊の頃から孤児でした。村の人達からは奴隷の様に扱われていました。暴力を振るわれ、重労働させられる日々。飯は十分に与えられない。そんな人間が長命なわけがありません。やっと20になったと思った矢先、体に限界が来てポックリ死にました。
センラの遺体は適当に土葬されました。数百年後、遺体…まぁ、骨ですね。それがたまたま道教の術士に発見され、気まぐれで生前の肉体を与えられました。術士は所謂仙人的なものなので、キョンシーになって始めてみた人間を主人とするという習性は無効。
しかし、基本キョンシーは主人がいないと動けない。そこで、術士は俺の主人となる人を占ったのです。
それが志麻くん、貴方でした。
志麻くんが生まれていない時代に、貴方が主人になると結果が出たのです。貴方が生まれるまでセンラは主人がいない。なので術士と一緒に彼の祖国、中国に渡りました。
センラは元々日本人ですが、生きた時代が古すぎて現代の言葉についていけず、それに加え中国に行ってしまったために、日本語を上手く話せなくなってしまっていたのです。
志麻くんやそらるさん、まふくんの言葉を聞いてやっと感覚が掴めて、ここまで話せるようになりました。
「………思った以上に大変な人生を送ってきたんやね」
「考えてみればそうですねぇ」
『なんか、ごめんね?有害なキョンシーかもしれないって決めつけちゃって。僕、実物初めて見たから』
「それならしゃーなしですよ。これから仲良くしましょう?」
『心広いっ!そらるさん惚れちゃう』
『はぁ!?やめてよ、僕にはそらるさんだけなんだよ?離れるとか許さない』
『病むな病むな。冗談だから』
「センラも、志麻くん一筋なんで……」
「そこはマジレスせんでええんよ、センラ。
あとさ、えっとぉ…」
志麻くんがセンラの腕をぽんぽんと叩くので、離して欲しいんだろうなと覚ったが、そんなことしてやらない。
「センラはもうちょっとこうしてたいです。センラにとって、志麻くんはやっと出会えた唯一のご主人様なんですから、ね?」
顔をずい、と近づけてお願いしてみた。
「イケメンずるいっ!断れんやろうが……」
『志麻さん面食いだもんね』
「顔しか見とらん男みたく言わんとってくださいよ」
『僕と初めて会ったとき、「国宝級イケメンですね、眼福です」って言ったのは誰だっけ?』
「俺の黒歴史掘り返すのやめてっ!」
志麻くん、そんなこと言ったんや……
なんか、胸の辺りがもやもやする。今も、志麻くんが二人に触れられていたときも。なんでやろ?
「あー……んむっ!!」
自分でもよくわからない感情が芽生えて、がぶりと志麻くんの肩に噛みついてしまった。
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