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始まり
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授業中、クラスの上位カーストαが隣に座る女子のうなじを噛んだ。
「キャアアアア!!」
教室に女子の悲鳴が響き渡る。松田直樹は教室の出口付近の席に座っていた。噛まれた女子が座っていた場所は対角線上の窓際。直樹は現場から1番遠かった。
「何してんだよ!!」
数学の授業をしていた先生が上位カーストαを羽交い締めにする。だが、意思疎通はできなさそうで先生の腕をαは噛んだ。
「ウワアアアアア!」
それでも、先生は抑えこもうとしている。
「あれ、やばくね……」
「逃げた方がいいよ」
口々にクラスメイトは言うが、手にはスマホを持っている。カメラで先生とαを動画に撮っていた。
「あほらし」
直樹はリュックを持って、教室を出る。あほな茶番に付き合ってられなかった。直樹はΩ。噛まれる側だ。あんな冗談見たくもない。どうせ、SNSにでもアップするのだろう。
教室を出れば、他のクラスからも悲鳴が聞こえてきた。少しずつ、日常が崩壊していく。
耐震工事でビニールシートに覆われた校舎の暗闇で、生徒のパニックを助長させた。
「え、あれってゾンビじゃね……ガチやばくね?!」
背後からクラスメイトが飛び出してきた。どうやら、悪ふざけじゃなさそうだ。
このままじゃ、クラスの両側から挟まれる。直樹は悲鳴が響き渡る廊下を走った。ここは1年生の教室。最上階の4階だ。学校の外に出るには1階に降りなければならない。
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