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初日
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「まぁこんなもんで
あとは古株のこの子らがやるから今教えたこと以外はしなくていいから」
「…わかりました」
「じゃあとよろしくね」
飲食業ってこんなに緩くないよな
なんなんだこの店
オーダー通すのとテーブルの片付けと閉店作業だけか
出来ないわけじゃなさそうだな
接客は苦手だけど免許も車もないし無難に飲み屋が一番いいだろ
「店員さーん」
「はい、ご注文でしょうか」
「いや、気になってたんだけどさ
お兄さんの腕ってリスカー?」
唐突の無礼って反応に困るよな
「はぁ?」
「もしかしてメンヘラ??」
がっしりとした体に黒いシャツのおっさん
…くるくる頭だしまともな人じゃなさそう
「あー、失礼しましたー
ごゆっくりー」
触らぬ神に祟りなし
いや、神じゃなくてゴミか
街に落ちてるゴミが知らんぷりされるのってこういうことだよな。
「え、ねぇ待ってよ」
酒臭い
だいぶ飲んでる
「離して貰えます?」
「ねーねーそれリスカー?」
「…はぁ、だから関係ないでしょ」
「俺は別に質問してるだけなんだけど
答えられない傷って逆に何?」
首傾げんな
縊り殺すぞ
「めんどくさいし酒臭いんで離してください
お願いじゃなくて警告です
間違えて殴っちゃったら困るでしょ」
「ガキの癖に生意気だ」
失礼だ!みたいな顔でそんな事言われてもどの口がって感じなんだけど
「ガキに吠えるのはなんですか
犬ですか」
「っ調子乗りやがって」
「手を上げるんですか
猛犬注意とでも背中に書いときましょうか?」
「っこの」
「はいはいストーップ!
こら蒼葉!飲みすぎだぞー
ごめねー普段は悪いやつじゃないんだよ」
突然俺と黒髪くるくるヤクザの間に割って入る白くてふわふわ羊男
「……はぁ。
お会計はこちらになります」
「こいつ!また!帰れってか!!」
「蒼葉!
あたりまえでしょ!
もう…なんで弱いのにそんなに飲んだの?
もう帰りなよ……終電ギリでお前のこと背負いたくないよ……」
「…わかったよ
ごめんね。
おにーさん。」
全然ごめんねって顔じゃねぇぞおい
酔っぱらいの男はそう言ってフラフラと立ち上がると1万円札をテーブルにおいて帰っていった
「はぁ。
ごめんね新人さん
俺は霧。
あいつは蒼葉って言うんだけどちょっとバカなんだ
弱いから普段はあんなに飲んだりしないんだけどさ…
多分蒼葉が最初に聞いたのも普通に気になっちゃったからだと思うんだ。
嫌な思いさせちゃってごめんね…」
仲裁に入った白くてふわふわの男、霧が申し訳なさそうに謝る
「や、別に慣れてるんで大丈夫…す」
「…
そっか、また日を改めてちゃんとごめんなさいしに来させるからねー」
「…はい
またのお越しを…」
正直もう来ないで欲しい
「バイバーイ!」
元気に振られた手にヒラヒラと応える
名前は可愛いけどとんだ猛犬だな
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