アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
白もやに香
-
「出ましたー」
たまたま見つけた学生の時の服がちょうど良くてよかった
無地だし古臭いもんでもないだろう
黒いTシャツに7分丈のサルエルパンツ
あとは彼のパーカーで出かける準備は十分整うはずだ
「あ、シャンプーとかわかった?」
「ラベルにシャンプーって書いてあったんで」
「あぁ、そっか」
バスタオルを被ったまま物珍しそうに顔を覗かれる
「あれ、蒼葉さん眼鏡なんですか?」
「ん?あぁそっか
目が悪くて家ではこんな感じなんだよ
変かい?」
「……いや、なんかずるいっすね」
「え?」
「なんか、要素多い」
要素……?
トキくんから見てって事だよな
…歳、歳?
「……あ!老眼じゃないから!!
まだそんな歳ではないから!」
「あ、いやそっちは特に感じてなかったけど…
なんかそこまで必死だと逆にめちゃめちゃ怪しいし」
「違うって!」
さすがにまだ中年って歳でもないと自分では信じて疑ってないのに老眼なんて冗談じゃないぞ
年寄り臭い要素が多いってことだったのか?
うわ、まだじーっと見てる…
俺他にまだなんかあったか?
「…そんなことはどうでも良くて、行きましょうよ水族館」
「あぁそうかごめんね
軽くだけどトースト焼いておいたから食べてテレビでも見てて
今シャワー行ってくるから」
「あ、ありがとう…ございます」
一瞬硬直して顔が強ばったように見えた
「あれ、米派だった?」
「………いや…人に朝食を用意してもらったの……初めてで……」
四角い皿の上に置かれたバターを塗っただけのトーストをじっと見ている
名前が嫌いだとも言っていたし
家庭の事情ってやつだろう
お節介をする必要は無いな
「そうかい
飲み物は何がいい?」
「…えっと、お茶がいい…です」
「はいどうぞ」
おずおずと椅子に座ってテーブルの上のトーストを見ている
「じゃあ10分で上がるから」
初めてならもっと凝ったものを作ったら良かっただろうか
いや、昴みたいに料理なんか出来ないから俺が作る中で1番美味いのはあのトーストだろう
俺が勝手に切なくなるのは、なんか…違うよな。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 35