アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
水槽の中
-
偶然にも車を少し走らせたところにくらげの水槽が有名な水族館がある
きっと喜んでくれるだろう
今はどこか元気がないけど
俺に会う度楽しい気持ちになれたら外出にも前向きになれるんじゃないか
昴の店の子にちょっかいを出すのは少し気が引けるけど
トキくんはきっとあの子たちとは違うだろうから
トキくんが付き合ってくれる限り、俺は良き友人で居よう
「ねぇ青葉さん」
「んー?」
「俺一番好きなのはミズクラゲなんだけど蒼葉さんは好きなくらげ居る?」
窓の外をぼんやりと眺めながら少し笑っている
きっと着いたらもっと色々な表情が見られるだろう
トキくんには言えないけど
俺はくらげよりも、そっちの方が楽しみかもしれない
「うーん、俺はくらげの知識があるわけじゃないけど
逆さまに泳ぐやつ、名前分からないけどあいつが好きかな
なんか、変わってるって言うか
個性的で面白い」
「あれサカサクラゲって、そのまんまの名前で光合成出来るくらげなんですよ」
「へぇ、光合成か」
「海藻と共生してて
見た目もピンクだし確かに個性的な感じで可愛らしい見た目ですよね」
可愛いという言葉がトキくんから出てくるのが少し意外だった
最初にあった時よりも無機質で暗い雰囲気は随分和らいだ気がする
ただ何か、心に留めていることはあるようだけど
「そうだね
トキくんはどうしてクラゲが好きなの?」
「昔海で見たくらげが綺麗だったんです
漢字で海の月って書くし、
明るい夜に見るくらげ1回見たら忘れられないですよ
ふわふわしてて」
「そっか」
一瞬苦いような顔をしたように見えたけど
きっとそこに触れるのは今じゃないんだろう
もしかしたら忘れられない記憶の一端に居たのがくらげなのかもしれない
それでもきっと本当に好きなのだろうから
楽しんでくれたらいい
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
17 / 35