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空の星海の月
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「トキくんそろそろ売店覗いてみないかい」
「ん、」
歩き回って疲れてる様子なのに頑なに水槽から離れようとしない
「くらげのグッズとかもあるかもしれないよ?」
「…んー」
「何か気になることがあったんだね?」
「……別に、俺はまだここに居たいだけ」
楽しんでくれているらしい
けど疲れているのに無理に居ても具合が悪くなってしまえばいい思い出とは言い難いかもしれない
帰りたくないってことなのか?
「…まだ時間もあるし歩き疲れただろうから売店によったあとはドライブにでも行こうか」
「…うん」
売店に向かってスタスタと俺を置いて歩き始める
どうやら正解だったらしい
確かに楽しい時に帰りたくないという気持ちは分かる
トキくんについて売店に向かう
「あれ、売店結構大きいね
この規模の水族館ならもう少し小さいような気がしてたんだけどな」
あちこちにカラフルな魚達が所狭しと顔を出している
ぬいぐるみ、マグカップ、クッキー、文房具に小物入れ……
あげるとキリがないが本当に色々なものが並んでいる
「あ、いっぱい居るよ」
「本当だ」
トキくんが指を指した先には大小様々な大量のくらげのぬいぐるみ
「あー、これ…かわいい」
トキくんが両手に掲げたのは棚を占領するほど大きなミズクラゲのぬいぐるみ
レースで半透明の姿も再現している
「そんなに大きいものもあるんだな…」
「うわ…」
俺が素直に感心していると値札を見たトキくんがありえないという表情をしてから名残惜しそうに棚へ戻した
「どうかした?」
「買おうかなって思ったら桁がバグってたんで」
口をへの字にして憎々しげに言うが未練があるのかクラゲを置いたあとも触手を握ったりしていた
「…あぁ、なるほど
確かにこれは高いなぁ」
「こういうとこのってどれもそうですよね…」
視線はミズクラゲに向けられたままだ
「他にもいろいろと見てみようか
まだ沢山あるだろうし」
「……そうですね」
別れを言うように触手を揺らしてようやくその場を離れた
どうやらお菓子の棚へ移動するらしい
「ごめんトキくん
俺トイレ行ってくるから待ってて貰えないかな」
「はい」
考え事をしているのか難しい顔をしている
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