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Japanese andromeda
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俺が用事を済ませて戻ると、トキくんがどこか慌てた様子で駆け寄ってきた
「どうかしました?」
「……えっと、こっちのセリフっていうか
もうこの辺は見終わったの?」
「うん
もう大丈夫
あ、最後にもう一回だけあのくらげ見てきていい?」
「えっ?あぁ、そうだね行こうか」
トキくんはあの大きなぬいぐるみにさよならを言うつもりなんだろう
「あれ、無い
売れちゃったのかなぁ…
でも今日平日で俺たち以外に2組ぐらいしかいなかったのに」
「…そういうこともあるよ
あの中に熱狂的なくらげ好きがいたのかもしれない」
「そうだね
よし、じゃあ行こう蒼葉さん」
「そうだね」
意外と聞き分けが良い事に少し驚く
やっぱり大人っぽいのか
「ねぇ、まだ夕方だけどどこ行くの?」
「山」
「悩んでるなら俺聞くよ」
特に心配そうな素振りをするでもなく
多分本当に聞くだけなのだろうなと考えて少し面白くなる
「いやいや、別に死に場所見に行くとは言ってないだろ
くらげ以外に好きな物って言ったら、俺まだひとつしか知らないから」
駐車場に出ると外はもうほんのり暗くて一番星が木々の影から光っていた
「…星?」
「そう
少し走ったところに行くから寝てていいからね」
「蒼葉さん疲れてない?」
「俺は大丈夫だよ
ほら、体力ありそうでしょ?」
「…俺よりはありそうだね」
「ははっ、ほら
だからそんな心配はしなくていいから
後部座席にブランケットがあるからそれ使って」
後部座席を開けて取り出したブランケットはやや大きめなのでこのくらいの気温なら寒いとは感じないはずだ
「うわぁ、暖かそう
でも俺できる限り起きてるよ」
「無理しなくたっていいんだよ」
「…ほら、景色も見たいし」
「ははっ、わかった
それなら眠くなるまで話しでもしながらドライブしよう」
「うん」
助手席に人が居るのは嬉しいな
俺は案外ちゃんと人に優しくできるのかもしれない
人といてこんなに穏やかな気持ちになれるんだから
車に乗り込んでエンジンをかけて
星見に向かう
彼と居ると楽しい
彼もそう思ってくれてるといい
心からそう思う
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