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「あの、清水先輩」
「…!は、はい!」
「…………………」
「………?」
明は覚悟を決めたように清水先輩と目を合わせた。
「清水先輩は、俺の憧れなんです!」
「…えっ…………えぇっーーーーーーー!!!」
清水先輩が大きい声を出して驚く。
「俺、実は小説家になりたくて、でも全然綺麗な文が書けなくて。先輩の書く文はいつも綺麗だから憧れてるんです。………だから、先輩はカッコ悪くないです、俺にとってはかっこいい先輩なんです。」
明は真剣な眼差しで清水先輩を見つめた。
「………」
(…そうか…この子が……)
先輩は暫く明を見つめたまま黙っていた。
そして…
「ありがとう…僕なんかを憧れてくれて…ありがとう」
そう言い、瞳から一粒の涙を零した。
でもその涙をすぐ拭い、勢いよく立ち上がった。
「清水先輩?」
「決めた、僕は変わる!」
明のハンカチを握りしめてそう言った。
そのまま清水先輩は「またね」という言葉を残し、本校舎の方へ走っていった。明はぼう然とその姿を見失うまで見ていた。
「……あ、ハンカチ………、ま、いいか。」
ふと、ハンカチのことを思い出したがそんなことよりも、明は憧れていた先輩と出会い、話せたことに心を弾ませていた。そして、少し軽快な足取りで部室棟へ進んで行った。
この出会いが、明の運命を大きく変えることになるとは。
きっと、神様しか知らないだろう。
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