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千里眼の老婆4
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だが、今はそんなことを言っていられない状況だ。そう判断しての訪問だったのだが、どうやら老婆は全てお見通しのようである。
「それでは単刀直入に伺おう。キョウヤはエインストラなのだろうか。そして、エインストラとは何者なのだろう」
「……訊くのは良いが、お前さん、それを円卓会議で話すつもりかい? 前にも言ったが、儂はひっそりと暮らしたいんだ。お前さんは儂の力を知っても利用しないから良いが、果たして他の王もそうだろうかね」
「……状況が状況だけに、諸王への報告は免れられないだろう。だが、円卓の王は皆王として優秀だ。貴女の力をむやみやたらに利用しようなどと考えるような愚か者はいない。もし万が一そうなったならば、そのときは必ず私が貴女をお守りしよう。だからどうか、お力添え頂きたい」
そう断言した王に、老婆はふっと表情を緩め、微笑んだ。
「知っておるとも。少し意地悪を言ってみただけだよ。……それじゃあまずは、お前さんが一番気になっていることに答えようじゃないか」
そう言って、老婆は机の上に置かれていたカップを口元に運んだ。
「あの坊やだけれど、恐らくは、エインストラであるとも言えるし、ないとも言える存在なんだろうね」
ずず、と茶を啜ってから言われた言葉に、王が首を傾げる。
「つまり、どういうことだ?」
「お前さんも薄々気づいているんじゃあないのかい? あれはね、一種の先祖返りだと思うよ。大方、先祖返りが起こることで右目だけがエインストラとして発現したんだろう。恐らく、あの子は遠い先祖にエインストラを持つだけのただの人間さ。だから、あの子自身に次元を越える能力などある筈もないと、まあ、儂はそう思うね」
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