アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
魔法魔術講座9
-
「始まりの四大国の王様だけ、ということですか」
少年の言葉に、グレイが頷く。
「単属性の極限魔法を発動するには、それぞれの属性の強力な加護が不可欠だ。赤の国なら火霊、青の国なら水霊、といった風に、この四国の国民は皆、対応する精霊の加護が強く表れているからな。強力な加護を得られる素質があるのが、始まりの四大国の人間だけなんだよ。それに加え、基本的に王家の血筋の人間は魔法適性が高く、生まれつき超級魔法までは難なくこなせる人間が多い。となると、極限魔法を使える可能性のある人間は四国の王族にまで絞られる。とまあ、これだけなら何も国王しか使えないって話にはならねェんだが、もう一つ重要なのが、極限魔法を発動する際に消費する魔力量だ」
言いながら、グレイは黒板に、そこそこの長さの柱と、それより二倍以上長い柱を並べて描いた。
「例えば、王族の中で最も魔力量が多い奴が持ってる魔力量がこの短い方くらいだとしたとき、極限魔法を発動するのに必要な魔力量が長い方だとしよう。この状態で極限魔法を発動しようとした場合、何が起こるか判るか?」
問われ、少年は黙って首を横に振った。魔法を知らない少年が、そんな質問に答えられる訳はない。
「難しい話じゃない。使用量が貯蔵量を越えたとき、魔法は発動せず、魔法師の持っていた魔力は全て失われ、死ぬ。……つまり、そういうことだ。極限魔法を発動するために必要な魔力ってのは桁違いに多くて、どんなに適性の高い人間でも普通は使えねェんだよ。……ただ、国王として即位すると、そこに王獣の加護が加わる。国王になるってのは、王獣と契約を結ぶようなもんだからな」
言って、グレイは短い柱の上に長い柱を描き加えた。
「王獣の加護は、国王の貯蔵魔力を劇的に底上げしてくれる。何がどうなって底上げされてんだかは俺も知らねェけど、そうやって初めて、極限魔法を使用できるだけの条件が揃うんだ」
その説明を受け、少年はようやく、赤の王がものすごい魔法を使ったのだということを知った。国王しか使えない魔法というのは、そういうことだったのだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
21 / 216