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魔法魔術講座11
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「テ、テメェ! どっから湧いた!」
がたいの良い身体を器用に丸めて窓から入ってきた王に向かい、グレイの罵声が飛ぶ。
「こらこら、仮にも自国の王をそのように呼ぶものではない。なあキョウヤ?」
「は、はぁ……」
正直少年の方もグレイと似たような心境だったりしたのだが、空気を読んで曖昧な返事をしておいた。
「しかし、到着早々このような堅苦しい勉強ばかりでは、疲れてしまうだろう。 大丈夫か?」
そう言って頭を撫でてきた王に、少しだけ居心地の悪さを感じつつも、少年は大人しく頷いた。
「はい。グレイさんの教え方は、とても判りやすいので」
「お聞きになりましたかね国王陛下? お聞きになりましたら、さっさと執務に戻られるべきかと。国王陛下におかれましては、例によって例のごとく執務を抜け出してのご登場かと察せられます訳ですが、それでは今頃ロンター宰相閣下が血眼になっていらっしゃるのでは?」
「いやいや、キョウヤのことが気になって気になって、執務が手につかなくてな。これはいけないと思った私は、ほんの少しだけキョウヤの様子を見に行こうと思い至った次第だ。これも執務をこなし、国を良くするため。であれば、宰相たるレクシィがそれに異を唱えるなどあろう筈もない」
そう言いながら、王がさり気なく少年の腰に手を回した。そして次の瞬間、王は少年が驚く暇もないほど素早く少年を抱き上げてしまった。
「おいこらポンコツ!」
叫んだグレイは、恐らく王のその行動を予期していたのだろう。王が行動を起こす前から密かに組み上げていた魔術式を以て水の弾丸を王に向けて放ったが、それらは全て王の、風霊、のひとことで弾き飛ばされてしまった。
「~~っ! これだから魔法は嫌いなんだ! クソが!」
「はっはっは、相変わらず口が悪い子供だなぁ」
楽しそうに笑いながら、少年を抱えたままの王が窓から身を躍らせる。
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