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魔法魔術講座12
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「仕事しろクソポンコツ野郎ーッ!」
グレイの罵声を聞きながら、王と少年は重力に任せ自由落下していった。王は相変わらず楽しそうな笑い声を上げていたが、少年の方はそうはいかない。可哀相な少年は、全く慣れない浮遊感に、王の服にしがみつくことしかできずにいた。
そんな二人を華麗に受け止めたのは、少年もすっかり見慣れてしまった炎の王獣である。
「ナイスキャッチだ、グレン」
そう言った王に首筋を撫でられ、王獣は甘えたような鳴き声を上げた。
「え、えと、あの、貴方……?」
事態を飲み込めずにいる少年が、困惑しきった顔のまま問うように見上げれば、炎を孕む瞳と、ばっちり目が合ってしまった。思考が蕩ける前に慌てて目を逸らしてから、少年が改めて疑問を口にする。
「あの、なんで、あそこに来たんですか? というか、……何処へ行くんですか?」
「お前と一緒に城下街でも散歩しようと思ってな。折角恋人が来ているのだ。デートのひとつやふたつしても、罰は当たるまいよ。だというのに、レクシィは仕事をしろ仕事をしろとうるさいし、グレイはお前を独り占めにするしで、もうこうなったらお前を攫って抜け出してしまえとなったのだ」
何がどうなったらそうなるのか全く判らなかったが、取り敢えずこの王が無断で出奔したことだけは理解できた。そして、理解した瞬間、少年の顔がさっと青ざめる。
当然だ。少年はごくごく普通の一般庶民なのである。そんな庶民が王と共に勝手に城を抜け出して遊びに行くなど、きっと大目玉を食らってしまうだろう。少年は怒られることが心底苦手だったので、そんな未来を想像して怖くなってしまったのだ。
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