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城下町デート5
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王と少年が降り立ったのは、城下町の中でも一際の賑わいを見せている商店街の一角だった。王の言葉通り、この国の国民たちにとって王が空から降ってくるのは割とよくあることらしく、大騒ぎになることはなかった。これは少年が後から聞いた話だが、あまり大騒ぎをするとロンター宰相を始めとする臣下一同に居場所がばれやすくなるから配慮してくれ、と日頃から王に頼まれているらしい。
だがしかし、そうは言っても王の来訪は王の来訪である。大騒ぎにこそならないが、ちょっとした騒ぎにはなった。
しかも何故か少年の存在は既に国民の知るところとなっていて、その上国王の恋人とかいう勘違いも甚だしい認識をされてしまっていたせいで、少年までも国民の注目の的になってしまったのだ。
他人が苦手な少年にとって、注目を浴びるなど死ぬほど避けたい事態であったし、もしかするとお前みたいな汚い奴が国王陛下の恋人を名乗るなと罵られてしまうのでは、という心配もしたのだが、国民は皆、少年を歓迎しているようだった。
そういえばレクシリアが、王が選んだ人間を民が貶める訳がない、と言っていた気がする。つまり、王の選択に間違いなどある筈もないから、王が選んだのならば民は何の疑いもなく受け入れる、ということなのだろうか。
とにかく、国民たちに悪気がないのはなんとなく察せられたのだが、それでも群がられるのはあまり好ましくはないのだ。恋人様恋人様と言って、やたらと店の売り物をプレゼントしてくれようとする人々に対応しきれず、少年は思わず王の服の端をきゅっと握り締めた。
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