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城下町デート12
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「手触りはどうだ?」
「え? ええと……、とってももふもふしてます」
「そうか! 気に入ったか?」
全く話が見えない少年だったが、気に入ったか気に入らないかで言えば気に入ったので、素直にそう答えておいた。
「それは良かった! いや、無理を言って展示品を譲って貰った甲斐がある」
「展示品……?」
少年の疑問には、優しそうな笑みを浮かべた店主が答えた。
「このテディベアは、ロステアール国王陛下が即位されたときに記念として製作し、この店に飾ってあった展示品なのですよ。販売目的で作った訳ではない一点ものなので、本来であれば売りに出すことはないのですが、国王陛下がどうしてもと望まれたので、この度お譲りさせて頂くことになったのです」
「は、はあ……」
そこまでしてこのテディベアが欲しかったのだろうか。なんというか、見た目に似合わない趣味をお持ちなんだなぁ、と少年は思った。
「キョウヤが気に入ってくれたようで何よりだ。非売品ゆえ値段はつけられぬという話だったが、その心遣いに対する感謝の気持ちとして、受け取って貰いたい」
そう言って、王が小さな布袋を店主に渡す。迷うような表情を見せた店主だったが、王の厚意を無下にする訳にはいかないと思ったのだろう。深く頭を下げてから受け取っていた。
(きっと、あの袋の中には、僕が思っている以上のお金が入っているんだろうな……)
少年は庶民なので具体的な金額までは判らないが、このぬいぐるみを商品として買おうとすれば、かなりの値段になる筈である。国王はやはりお金持ちなのだなぁなどと呑気に思っていると、王に頭を撫でられた。
「では、それはお前への誕生日プレゼントだ」
「…………は?」
言われた意味が判らず、間の抜けた声が出てしまった。
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