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城下町デート13
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「ええと……今、なんて……?」
「だから、お前への誕生日プレゼントだ。私ばかり祝って貰うというのは不公平だろう?」
「……えっと……、」
色々とつっこみどころが多すぎて、何から指摘すれば良いのだろうか。
「あの、僕、別に今日が誕生日とかでは……」
「知っているとも。誕生日を訊いたら判らんと教えてくれたのはお前ではないか。ただ、冬生まれなのだろうと思うとは言っていただろう?」
そうなのだ。少年は自分の誕生日を知らない。冬生まれだろうというのも、冬になると母の機嫌が普段以上に悪くなった気がしたので、きっとそのあたりが自分の生まれた時期なのだろうと感じただけだった。だから、本当は冬に生まれたというのも真実かどうかは判らない。だが、この前王に誕生日を尋ねられた時はそこまで詳しく話す気にはなれず、正確な日付は判らないが多分冬に生まれたのだと思う、という旨を伝えたのだった。
「日付が判らぬのは仕方がない。しかし、判らぬからと言って祝わぬ訳にもいくまい。という訳で、これは誕生日プレゼントなのだ」
「は、はぁ……。え、いや、でも、こんな高価なものを頂く訳には、」
「私が受け取って貰いたいのだ。……駄目か?」
悲しそうな顔をした王が少年を覗き込み、金の瞳が真っ直ぐに隻眼を見つめる。
「っ、」
ああもう、その目で見つめられてしまったら、否定なんかできる筈がないのに。
「……あなた……ずるい……」
少年がその金の瞳に弱いことを知っているのかいないのか。それは判らないが、ほんの僅かだけれど非難するような呟きに、王はとても幸せそうに微笑んだのであった。
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