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城下町デート22
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「国王陛下におかれましては恋人様と仲睦まじく市井を探索していらっしゃるご様子、何よりなことと存じます。しかしながら、恋人様とのお時間をお邪魔することになろうとも、先程なんの前触れもなくいらっしゃった国賓をこれ以上お待たせする訳にはいかないと考え、誠に勝手ながらお迎えに上がらせて頂いた次第にございます。無論、陛下のささやかな幸福のときをお邪魔するのは大変忍びないと判ってはおりますが、国賓をないがしろにする訳にもいきません。これでもでき得る限り陛下のご意向に添えますようにと、贈り物を渡し終えるまでお待ち申し上げた訳ですので、ここはどうか、私の気持ちを汲むと思ってご帰城頂けないでしょうか」
そう言って深々と頭を下げたレクシリアに対し、王が、ふむと頷く。
「予定にないてめぇの客の来訪にこっちは困ってるんだ。国賓クラスの客を招いているなら事前に言え。その上その国賓を待たせてほいほい遊び歩いてんじゃねぇぞこのクソ王が。判ったら今すぐ帰れ。……直訳するならばこんなところか?」
「私が思っていた以上に深くご理解頂けましたようで、結構でございます」
にこりと微笑んだレクシリアだったが、相変わらず頬の端が引き攣っているように見える。これはかなりご立腹のようだ。
そんな彼を見てもなんとも思わないのか、王はにこやかな表情を保っているが、少年の方はそうはいかない。やはり怒らせてしまったと青褪めて、思わず手元にあったマフラーをぎゅっと握れば、それに気づいた王が頬にキスを落としてきた。
「怯えなくとも良い。レクシィが怒っているのはお前ではなく私だ。レクシィもそうピリピリするな。キョウヤが怯える」
王の言葉にレクシリアの額に青筋が浮いたように見えたが、次の瞬間には跡形もなく消え、深呼吸の後、彼は常と変らぬ微笑みを浮かべることに成功した。優秀な臣下である。
「しかし、そうか。国賓となると確かに、急ぎ戻らねばなるまい。……すまないキョウヤ。名残惜しいが、デートはここまでのようだ。結局大したことはできなかったが、許して貰えるだろうか」
「あ、は、はい」
許すも何も、国王と共にいる居心地の悪さから解放され、更に王が大人しく執務に戻ってくれると言うのなら、少年にとっても臣下にとっても万々歳である。現状においてこれ以上のことはないだろう。
良いから早く帰って仕事をしてくれという気持ちを込めてぶんぶんと首を縦に振れば、王は少しほっとしたような表情を浮かべて、また少年の頬にキスをしてきた。
「っ、」
だから、こういうことを人前でするのはやめて欲しいのに。
そう思うのだが、やはり言い出すことができない。結局満足に文句を言うこともできないまま、王に抱かれた少年は、再び王宮へと連れて行かれるのであった。
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