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魔法魔術講座16
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「方法がある程度確立したらしたで、今度はより一層強い力を手に入れようと躍起になったそうだ。契約者の力が強ければ強いほど、術者の能力も上がるってのが魔導だからな。当然、帝国としては強大な力を持つ生き物を使役したい訳だが、相手が強いほど、魔導によって使役するのも難しくなる。そんなこんなで、帝国の闇の時代はその後も長く続くこととなり、今に至っている」
「……そんなに強い力を手に入れて、何がしたいんでしょうか……」
「……さあな。まあ、取り敢えずはリアンジュナイルの魔法を越えたいんだろ。だけど、魔法と同等の力が手にできるような契約相手となると、ほいほいと契約できるような生き物じゃない筈だ。だが、どうやらデイガーってやつはそれをやってのけたらしいな。空間魔法は魔法の中でもかなり難易度の高い部類のものだが、それを魔導でやってのけたんだ。あいつが使役していた竜もどきは、多分相当力を持った生き物だぞ」
やはり、デイガーの魔導はかなり優れたものだったのだ。それに、グレイの口ぶりは、魔導が魔法を越える可能性を完全には否定していないようだった。ということは、デイガーよりも強大な力を持つ魔導師がいて、その魔導師がこの大陸の魔法師よりも強い可能性があるということだ。
「魔法に並ぶ魔導を使える魔導師は、強い生き物と契約している、ということだと思うんですけど、そもそも、強大な力を持つ生き物って、そんなにたくさんいるものなんですか……?」
「良い質問だな。現状、王獣クラスの生き物は王獣以外には存在しない。リアンジュナイルを越えたい帝国としては、それは由々しき事態だ。各国の王は王獣の力を借りられる訳だから、帝国だって最低でも王獣に並ぶ程度の何かとは契約したいだろ? そこで奴らが目をつけたのが、別の次元にいる生き物だ。この次元には王獣に並ぶ生き物は存在しないが、次元を越えるなら話が変わる。様々な次元に干渉して、より強大な生き物を召喚し、それを使役できたなら、帝国が円卓の連合国を越えることも夢ではない、と、奴らはそう考えた。それが確か、十年ほど前の話だ。そこから今に至るまで、帝国では通常の魔導実験に加え、次元に干渉する魔導実験が盛んに行われるようになった。といっても、そもそも帝国の魔導自体が随分と未熟なものだったからな。次元魔導の実験のほとんどは失敗に終わり、たまに成功したところで、喚び出されるのは何の力もない異次元の人間や生き物ばかり。そんなことを繰り返していたから、円卓の連合国としてもそこまで留意はしていなかったんだろうが、……今回の件で、いきなり話が変わった」
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