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魔法魔術講座17
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白墨を置いたグレイが、少年に向き直る。
「デイガーが使役している竜もどき。あれは明らかに別の次元の魔物だ。ということは、十年前から燻っていた次元魔導の実験が、急に大成功したことになる。空間を弄れる魔物となると、かなり強い部類だろうからな」
「……急に成功したのには、何か理由があるんでしょうか?」
「……さあな。その辺を調べるのはオレの役目じゃねェし、そもそも今話したような内容だって、普通はオレみたいなただの公爵秘書官には知らされないもんだしな」
「え、じゃあ、なんでグレイさんは知ってるんですか?」
尋ねた少年に、グレイは肩を竦めてみせた。
「少なからず、オレが帝国の魔導の関係者だから、かね。関係者っつーか被害者か。まあそれに、この国はボケボケしてっから割と情報の風通しが良いんだよ。よっぽどの機密事項じゃない限り、王様が簡単に話しちまうしな」
それは王としてどうなんだ、と何度目になるか判らないことを思った少年だったが、それでこの国が回っているのだから問題ないのだろう。多分。
(でも、被害者って、どういうことなんだろう……)
少しだけ気になりはしたが、少年とグレイはそこまで親しい訳ではないし、わざわざ突っ込んで訊くほど興味がある訳でもなかったので、結局その後も少年がグレイの発言について尋ねることはなかった。
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