アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
魔法魔術講座19
-
あれは確か二年ほど前のことだった。たまたま近くを通ったからと、前触れなくシェンジェアン王国のランファ王がグランデル王城を尋ねて来たことがあったのだ。慌てて彼女を来賓室に通したレクシリアが応対していると、国王を呼びに行った侍女が、国王陛下が行方不明ですと来賓室に駆けこんで来たのだったか。
すぐさま結成された国王捕縛隊(グランデル中央騎士団の有志である)によって捕えられた王は、王城へと連行されたのだったが、その際にシェンジェアン王から言われたひとことを、レクシリアは今でも忘れられない。
『おやまあ、グランデルは随分平和なご様子。何よりなことねぇ』
思い出しただけで、腹が立ってきた。勿論、シェンジェアン王に対してではない。自国の王に対してである。
「あの! シェンジェアン女王陛下の憐れむような顔を! 覚えておいでですか! 私がどれだけ屈辱的な思いをしたか……!」
そりゃあまあ、自国の王の大層間抜けなところを見られてしまった訳だから、恥ずかしいことこの上ないだろう。だがしかし、張本人である王は別段気にしていないようだった。
「まあまあ、実際平和なのだから、良いではないか」
「あの言葉を額面通りに受け取る阿呆がどこにいますか! 大体、あれだけの屈辱を味わいながら、またこうして同じ過ちを繰り返すなど……!」
「ヴェールゴール王ならば気にはせんだろう。あの王はあの王で、なかなか特殊な王だからな」
「そういう問題ではございません!」
のんびりした反応の国王に、またレクシリアの叱咤が飛ぶ。
「判った判った。今後はもう少し気をつける」
「そのお言葉、本当ですね?」
「本当だとも。それとも私を疑うか?」
「……いいえ。貴方を疑う国民など、一人としておりませんとも」
グレイ曰く、レクシリアも王のことが大好きな信者なので、なんだかんだ言ってもこうして王に丸め込まれてしまうのである。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
53 / 216