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天ヶ谷鏡哉10
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四人が向かった先は、いくつか存在している来賓室のひとつだった。王と王の賓客が使うような部屋ではなく、高官が用いるような部屋なのだが、一番近くにあるこの来賓室で良いと王が言ったのだ。
上質なソファに座った王と、それに向き合う位置にあるソファに座った『アレクサンドラ』。そして、王が座るソファの背後にはレクシリアとグレイが立っている。
背の高いレクシリアが立っているのは些か圧を感じるだろうから座れと王は言ったのだが、相手がキョウヤではなく『アレクサンドラ』である以上親しい身内として考えることはできず、身内ではない人物の前で臣下である自分が王と共に座るわけにはいかないと、レクシリアが言い張ったのだ。
レクシリアが対外的な場では臣下としての立場を貫きたがるのはいつものことなので、王は彼を説得することをさっさと諦めて好きにさせることにした。この宰相は、非常に優秀だが非常に頑固なのだ。
ちなみにグレイは、じゃあオレは座ると言って座ろうとしたのだが、レクシリアに咎められて仕方なく彼に付き合って立つことになった。
「さて、どこまで話して貰ったのだったか」
「私たちが天ヶ谷ちようの人格であるというところまでだ」
「ああ、そうだったな。それでは、……そうだな。まずはその人格とやらについてそれぞれ聞かせて貰おうか。察するに、各人格には役目があるように思える」
そう言った王に『アレクサンドラ』が一瞬嫌そうな表情を浮かべた。相変わらず真を突いてくる発言が不快だったのだ。
「天ヶ谷ちようが生み出した人格は四つ。それぞれ、グレイ、アレクサンドラ、迅、鏡哉という名前がついている。それぞれの人格を簡単に説明すると、まずグレイは、置かれた状況を整理し、俯瞰的な視点で最もちようのためになる道を模索するための人格だ。誰よりもちようのことを考えている反面、それ以外のことには無頓着で、ちように危害を加える恐れがある者は誰でも敵視する。……今回そちらの魔術師に危害を加えようとしたのは、この人格だ。ちようの名を知っている貴方を看過できなかったのだろう」
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