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天ヶ谷鏡哉18
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「最後の癇癪についてはよく判らないが、それ以外のことは概ね判ったな。これでグレイも少しはすっきりしただろう」
少年を抱き上げてそう言った王に、グレイが頷く。
「ええ、お陰様で。……まあ、ある意味これだけ複数の人格がいるっていうのは良いことなんでしょうね。それぞれに得意分野があるみたいですし、キョウヤひとりよりは危機回避能力も断然上がるでしょう。魔術も、キョウヤは不得意みたいですが『グレイ』の方は得手のようでした」
「そうだな。少なくとも当初想定していたよりは守りやすくなったのだろう。……では、私はキョウヤを連れて自室へ下がる。お前たちもこの騒ぎで疲れたろうから、仕事を済ませたら早めに休むと良い」
そう言ってさっさと部屋を出て行ってしまった王の背中を見送ってから、レクシリアがはっとした顔をした。
「流れで見送っちまったが、あの野郎まんまと仕事サボる気だな!?」
「まあ、大義名分を得てしまいましたからねぇ。今日ばかりは仕方ないんじゃないですか?」
グレイに言われ、レクシリアが盛大な溜息を吐く。確かに、今回の件は王なりに思うところがあるだろう。そう考えると、少年と二人きりになれる時間は必要であるように思えた。しかし、だからといって執務が待ってくれるわけでもないので、結局王がこなせなかった仕事を可能な限り肩代わりしなければならない宰相は、がくりと肩を落とすのだった。
そんなレクシリアを見て少しだけ笑ってから、グレイは内心で首を傾げる。
(あの何かが割れるような音は何だったんだ……?)
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