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異変8
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レクシリアの言う通り、ほどなくしてグランデル王立中央騎士団団長であるガルドゥニクスと、副団長のミハルトがやってきた。
筋骨隆々としたガルドゥニクスと比べると副団長のミハルトはやや見劣りがする青年であったが、魔法の腕も剣の腕も確かなもので、こと軍略においては団長であるガルドゥニクスも舌を巻くことがあるほどの人物である。
「東で大事と聞きましたが、我々中央騎士団も加勢に行くべきでしょうか」
軽く一礼をしてからそう言ったガルドゥニクスに、王が首を横に振る。
「いや、デディ騎士団を以てしても対処できない事態ならば、中央騎士団を向かわせるよりも私が出向いた方が良いだろう。二度手間になった挙句、手遅れになる可能性も否定はできんからな」
聞く者によっては辛辣にも聞こえるかもしれない言葉だったが、王に中央騎士団を貶めるつもりはなく、それはガルドゥニクスもミハルトも重々承知していた。
「私が出るとなれば、王都の守りが薄くなる。それを見越し、金の国に派遣していた騎士の半数を西の砦に戻し、更に西の砦からも中央騎士団に人員を呼び戻すこととした。東からの連絡が来るまではどうなるか判らぬが、もし私がここを空けることになった場合、ガルドゥニクスには全騎士団員を統括し、王都の守護に尽力して貰いたい」
その命にガルドゥニクスは頷いたが、ミハルトは納得ができないといった面持ちで王を見た。
「畏れながら申し上げます、陛下。一部の戦力を派遣場所から撤退させるとの話、私には些か腑に落ちません。人員を呼び戻すのは王都の守りのためと仰いますが、そもそも王都に守りが必要でしょうか?」
王の命に否を唱えたミハルトに、王は彼に視線をやった。
「どういう意味だろうか」
「我が国は、戦ごとが得意ではない金と薄紅に囲まれております。故に、両国に大事あらば我が国から戦力を派遣することとなるでしょう。つまり、帝国の狙いが本当に王都で、そのために最大戦力である陛下を王都から離れた場所に誘き寄せて足止めするというのであれば、国境のような半端な場所ではなく両国を狙う方が得策だと考えます」
「しかし、金と薄紅を狙えば、我が国に加えてその国の軍部をも相手取らなければならなくなる。それよりは一国を相手に仕掛ける方が安全策ではないか?」
王の反論に、しかしミハルトは首を横に振った。
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