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異変19
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「ああ、キョウヤさん! 良かった、ご無事だったのですね!」
(ほ、本当にいた……)
自分が抱いた不信感は杞憂だったのかと安堵しつつ、少年は慌てて騎獣から降りて深く叩頭した。
「え、ええと、この度は、お手数をお掛けしてしまって、申し訳、ありません」
何を言えばいいのか判らずに取り敢えず謝罪した少年だったが、そんな彼の肩をギルヴィスがそっと撫でる。
「貴方が謝罪することは何もありませんよ。さあ、どうか立ってください。ここも危険でしょうから、すぐに出発しなければ」
ギルヴィスの言葉に、少年は思わず顔を上げた。
「え、あの、危険、なんですか……?」
店を出たときも特に騒ぎが起こっている様子はなかったし、この林だって静かなものだ。少年には、現状からここが危険だと判断することはできなかった。
「ええ、いつ帝国兵が襲ってくるか判りませんからね。けれど、心配する必要はありませんよ。更に離れた地に安全な場所を用意しました。あそこならば、敵の手が及ぶこともないでしょう。ここまで貴方をお連れしたダリが引き続き護衛しますので、どうか貴方は先にそちらに向かってください。私たちは、ここに残って民を守らなければ」
せかすようにそう言ったギルヴィスに対し、少年は不安そうな表情を変えないまま幼い王を見た。
(……なんだろう、何か、おかしい気が……)
ギルヴィス王は、幼いながらにも聡明な王だ。他でもない赤の王がそう明言していたのだから、恐らくそれは事実なのだろう。そして、だからこそ、どうしても違和感が拭えないのだ。
聡明な国王が、このような場所に自ら足を運ぶだろうか。それほどまでに危機的状況なのだとしたら、こんな少人数の護衛のみで来るだろうか。そして、狙われているという少年に護衛を一人しかつけないだろうか。
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