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水の呪い6
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「くっ!」
腕ごと弾かれたことでガラ空きになった王の胴を狙う一撃を、風霊魔法で僅かに逸らしつつなんとか回避した王は、一度後ろに飛び退って体勢を整えた。
(まさか力負けするとは。まったく、なんという力だ。人間と異形とでは、体格差などまるであてにならんな。その上、火霊魔法がまったく効いていないとなると、……これは予想以上に厄介だぞ)
実を言うと、力負けした点については大きな問題ではない。自分よりも筋力の高い相手だと判れば、それ相応の戦い方をすれば良いだけだ。それよりも、あの至近距離で放った火霊魔法が微塵もダメージを与えていないことの方が深刻である。
よくよく目を凝らして見ると、敵である女の身体中を、薄い水の膜のようなものが覆っているように見える。といっても、実際に水の膜が張られている訳ではないだろう。あれはいわば、水系統の何かを由来とする防護壁のようなものだ。そしてこの膜は、様々な効果や祝福を施してある王の剣を以てしても、断ち切ることが叶わないようである。それどころか、王の剣は彼女の鱗に傷をつけることすらできなかったのだ。
(この剣を弾くとなると、私が使えるレベルの地霊魔法や風霊魔法による攻撃が通るとも思えんな)
剣も効かない、魔法も効かない、となると、今の状況では打つ手がないというのが正直なところだ。だが、だからといって負ける訳にもいかない。
王が次の一手を考えあぐねている間にも、女の攻撃の手が休まることはない。容赦なく地面を引き裂く爪を寸でのところで躱し、剣の柄を両手でしっかりと握った王は、刃を翻して女の爪を身体の外側へと強く弾いた。そうして生まれた僅かな隙を逃さず、王が叫ぶ。
「火霊! 今より再度の指示が下るまでの間、火霊魔法の全権をお前たちに預ける!」
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