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水の呪い20
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ふう、と息を吐いたレクシリアが、弓を下ろしてグレイの方へ顔を向ける。
「これで良いだろ。戻るか」
「さすがは八割人間ですねェ。弓の腕もさることながら、四属性の魔法を同一対象に同居させるその手腕、お見事ですと言っておきましょうか」
厭味をたっぷり含んだ語調でグレイが言うと、レクシリアはあからさまに嫌そうな顔をした。
「悪かったな、八割しかできない男で」
「何を言ってるんです。アナタの場合、大抵のことを八割方こなしてみせるんですから、寧ろ褒め言葉でしょう」
「お前に言われると器用貧乏だって馬鹿にされてるようにしか思えねぇんだが」
「アナタみたいな貧乏がいて堪りますか。ご自分の実力をよく判っているからこそ、人払いをしたんでしょうに」
グレイの言葉に、レクシリアが肩を竦める。
「オレは宰相なんだから、荒事には向かないと思われてる方が良いんだよ」
「ふぅん、そうですか」
そう返したグレイだったが、それが理由ではないことくらい判っている。
(大方、ガルドゥニクス団長の立場を考えてのことなんだろうな。そこまで気にすることでもないだろうに。まあでも、この人お人好しだからなぁ)
「しかし、ロストがわざわざ俺に助力を頼むってことは、あいつ割と苦戦してるんだな」
「アナタに地霊魔法を使わせるんですから、恐らく相手は水系統の魔導なり何なりを使ってくる相手なんでしょうね。確かに、そうなると陛下は不利かと」
そう言ったグレイに、レクシリアが頷く。
「まあでも、この程度の助力しか求められないってことは、なんとかなるんだろ」
大して心配した様子もなくそう言ったレクシリアに、グレイはまた呆れた顔をした。
「……これだから宗教国家は」
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