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窮地13
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「どうする? 俺もあんまりこういうのは好きじゃないから、さっさと話してくれると嬉しいんだけど。ああ、心配しないで。好きじゃないからってやめはしないから。依頼を受けた以上これは仕事だからね。あんたが話してくれるまでいくらでも痛いことするよ」
淡々と話しながら今度はアンネローゼの中指を握ったヨアンに、彼女も彼が本気であることと、ここで黙っているのは悪手だということを悟ったのだろう。彼女は泣きながらこくこくと頷き、ヨアンに縋りついた。
「話す! 話すから! 痛いのはもういやぁっ!」
「他の人には散々痛いことしたくせに、都合が良いなぁ。まあ別に良いけど」
そう言ってアンネローゼの中指から手を離したヨアンは、改めて彼女の顔を覗き込んだ。
「じゃあまずひとつ目ね。今ここで本気でエインストラを攫おうっていうには計画があまりに杜撰らしいんだけど、今回の襲撃の本当の目的は何?」
ヨアンの問いに、アンネローゼは困惑したような表情を浮かべる。
「え、し、知らない……」
その答えに、ヨアンは無言のまま再び彼女の中指に手を伸ばした。その行動に、彼がしようとしていることを察したアンネローゼが小さく悲鳴を上げる。
「ほ、本当よ! 本当に知らないの! 私はエインストラを連れて来いって言われただけだもの!」
「連れて来いって、この少人数で? まさか本当に自分たちだけでなんとかなると思ってたの? そうだとしたらあんた、相当頭悪いんだね」
ヨアンの言葉を受け、既に涙でぐしゃぐしゃになっているアンネローゼの顔が更に歪む。
「し、知らないもん……、だって……、わ、私ならできるって……、皇帝陛下が……」
「ふぅん。じゃあ質問を変えるけど、帝国の最終目標って何なの? エインストラを手に入れて何するつもり?」
「……せ、世界を、平等にするの。生まれつきの、才能で、全てが決まる、今の世界なんて、おかしいって。私とか、弟、みたいな、捨て子がいない、優しい世界に、してくださるって、」
「はあ。つまり、世界を変える、みたいな? なんだか随分と漠然とした話だなぁ。まあそういう話ならそれで良いけど、じゃあどうやって世界を変えるの? エインストラがいたらどうにかなるわけ?」
首を傾げたヨアンに、アンネローゼの目から更に涙が零れる。そして彼女は、怯える子供そのものの目でヨアンを見た。
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