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蜃気楼の攻防10
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その後の攻撃をなんとか躱した彼は、一度体勢を整えて再び反撃に出ようと剣を構えた。が、そこで不意に、彼の身体がぐらりと傾く。なんとか少年に直接衝撃がいかないように体を捻って地面に倒れたカリオスは、すぐさま身体を起こそうとして、うまくいかないことに気づいた。
(まさか、毒か!?)
全身に走る痺れと自由が利かない身体は、彼が毒に侵されていることをありありと示していた。
恐らく、蜘蛛のような身体の魔物の攻撃を受けたときだ。あの爪か牙に即効性の毒があったのだろう。
(っ、駄目だ、動かない……!)
少年を庇うことを優先し、敵の攻撃を剣で受け止めなかったことが仇となった。なんとか動かせる目を少年に向ければ、彼は可哀相なほどに顔を蒼白にしてこちらを見ていた。
(守るべき相手にこんな顔をさせてしまっては、ギルヴィス様に顔向けできないな……)
自嘲するような苦笑が零れそうになったが、弛緩してしまった筋肉ではそれすらもままならない。それでもなんとか力を振り絞ったカリオスは、少年が下に来るように無理矢理身体を転がした。幸いなことに少年の身体はカリオスよりも小さいので、こうして上から覆い被されば、少しくらいは時間が稼げると考えたのだ。
「ふ、うれい……、か、れい……」
切れ切れに名を呼べば、カリオスの意図を察してくれた精霊が、二人を守るように雷の盾を展開させてくれる。
(これも少しの間しか保たないだろうが、ないよりはマシだろう。さすがに俺ごと貫かれたら、この子も無事では済まない)
身体の下に庇った少年が、泣きそうな声でカリオスの名を呼んでいる。だが、そろそろ舌すらも痺れてきた彼には、それに上手く応えることができなかった。
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