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黒の暗殺者4
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「酷い怪我ですし、急に動いたら危ないんじゃ、」
思わずカリオスの肩を抱き支えるようにして補助した少年に、カリオスが微笑みを返す。
「しかし、グランデル王陛下の恋人であるキョウヤ殿に抱き支えて頂くのは、少々問題があるのではないかと」
少しだけ笑うようにして言われた言葉に、少年が小さな悲鳴を上げて、カリオスから手を離した。カリオスを支えたのはほとんど反射のようなものだったので、相手に触れるという行為を意識していなかったのだ。だが、改めて言われると恥ずかしいやら畏れ多いやらで、申し訳なさすら込み上げてくる。
もしかして不快な思いをさせてしまっただろうかと少し不安になった少年だったが、カリオスの表情からその心配はいらないらしいと察し、安堵したように息を吐いた。カリオスは少しだけふざけたような声だったし、きっと少年の緊張を解すためにああいう言い方をしたのだろう。
上半身を起こして深く息をついたカリオスは、手を開いたり閉じたりして何かを確認した後、少年を見て微笑んだ。
「ご安心ください。もう身体の毒も消えたようだ。恐らくは、幻が消えたからでしょう。幻が生み出したものは、その幻が消えれば消えるのが道理というもの。毒などは、その最たる例です。無論、毒が消えるまでの間に私が消耗した分はなかったことにはなりませんが、これならば動いても問題ないでしょう」
カリオスとしては少年を安堵させようと思っての発言だったのだろうが、しかしその言葉を聞いた少年の顔色はさっと青褪めてしまった。
「ど、毒!?」
その少年の反応に、カリオスが思わずしまったという表情を浮かべる。カリオスは失念していたようだが、そもそも少年はカリオスが毒に侵されたことなど知らなかったのだ。カリオス・ティグ・ヴァーリアは優秀な師団長だが、どうやら疲労と怪我の影響か少々判断力が鈍っているらしい。
「い、いえ、毒と言っても大したものではないのです。少々身体が痺れる程度と言いますか、」
カリオスが慌てて取り繕おうと言葉を並べていると、不意に二人の頭上から呆れたような声が降ってきた。
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