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黒の暗殺者7
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「ヴェールゴール王、あまりキョウヤ殿を困らせないで頂きたい」
「困らせてるつもりないんだけど。だって事実じゃん」
首を傾げたヨアンに、カリオスが深くため息を吐く。だがその拍子に傷が痛んだのか、彼は少し身体を丸めて小さく呻いた。
「ああほら、やっぱり大怪我なんじゃん。意地張るのも良いけど、ほどほどにしないと死ぬよ」
「死ぬほどの怪我ではございません」
暗にこれ以上少年の不安を煽るようなことを言うなと伝えるように、ぎっと睨んできたカリオスに、ヨアンは肩を竦めてみせた。
「まあ良いけどね。取りあえずついでだし、俺が応急処置くらいはしてあげる。白の国の薬使うから、ある程度治癒できるはずだよ」
そう言ったヨアンが、上着の内ポケットから薬や包帯を取り出す。そんな彼の行動が予想外だったのか、カリオスは少しだけ慌てたような顔をした。
「い、いえ、そんな、ヴェールゴール王陛下のお手を煩わせる訳には、」
「もう十分煩わせられたから、これくらいオマケみたいなもんだよ。寧ろここであんたを放置して後遺症とか残る方が面倒。判ったら黙って背中見せて」
ぴしゃりと言われ、カリオスが口をつぐむ。ヨアンの言っていることは間違いなく事実だったので、反論のしようがなかったのだ。
慣れた手つきでカリオスの傷口に薬を塗って包帯を巻いていくヨアンを、少年がじっと見つめる。
状況から判断するに、あの窮地を救ってくれたのは黒の王なのだろう。だが、一体どうやってあの魔物を倒したのだろうか。というか、あんなに簡単に倒せるのならば、何故一度少年を見捨てるようなことをしたのだろう。考えれば考えるほど、疑問は深まるばかりである。
そんな少年の視線を鬱陶しく思ったのか、応急処置の手を止めないままヨアンが少年を見た。
「なに?」
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