アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
お茶会2
-
「そんなに緊張なさることはないのですよ、キョウヤさん」
そう微笑んだ金の王が、テーブルに置いてあるティーポットを取って、少年のカップへと紅茶を注ぐ。ふんわりと上質な香りが少年の鼻を擽ったが、そんなことよりも国王が手ずから給仕してくれたという事実が更に彼を委縮させてしまったようだった。
これはいけないと思った金の王が、慌てて少年へ向けた笑みを深めてみる。
「お口に合うか判りませんが、よろしければどうぞ」
その、花が咲き綻ぶような可憐な微笑みに、少年は思わず金の王を見つめてしまった。なにせ綺麗なものに目がない少年なので、幼王の花のかんばせをこの距離で拝むのは、少々刺激が強かったのだろう。
やや惚けたような顔で見つめてくる少年に、ギルヴィスは小さく首を傾げた。
「キョウヤさん?」
「っ、え、あ、あの、す、すみません!」
名を呼ばれ、はっと我に返った少年は慌てて謝罪し、目の前にあるティーカップを手に取った。
緊張で喉はカラカラだが、明らかに高そうな食器に飲みたいという欲求は全く湧いてこない。だが、国王がわざわざ淹れてくれた紅茶である。
(の、飲まないと、失礼だよね……)
仕方なく無理矢理喉に流し込んだが、案の定あまり味は感じられなかった。しかし、飲んだからには何か言うべきだろう。
「……お、美味しい、です。ありがとう、ございます」
全く気の利かない台詞を吐き出した少年に、しかしギルヴィスはふわりと微笑んだ。
「お口に合ったのなら良かった。お菓子もご用意しましたので、是非召し上がってくださいね」
そう言ったギルヴィスが、皿に綺麗に盛りつけられている菓子に手を伸ばす。上質なバターを含んだしっとりとした焼き菓子を取り、手でちぎった金の王は、上品な手付きでそれを小さな口に運んだ。まるで絵画のようなその光景に、少年がまた惚けたような顔をする。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
198 / 216