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お茶会7
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そんな中、ようやく呼吸を落ち着けたらしい金の王が、蘇芳を見る。
「あの、貴女が帝国の刺客というのは本当ですか……?」
ここで赤の王に話を振らなかったのは、空気を読んだ結果なのだろう。ギルヴィスは幼くとも聡明な王なのである。
「ああ。そこのとぼけた王様とヤり合ったしな」
「……ロステアール王と、ですか」
短い言葉の裏にある疑念に答えたのは、相変わらず少年を膝の上で愛でている赤の王だった。
「スオウ殿はかなりの強者だぞ。なにせ人ではなく、異なる次元からやってきた上位種だ。お陰でうちの騎士団長の一人が深手を負う羽目になった。今回はなんとか休戦に持ち込むことができたが、あのまま戦いが続けば私も危うかったやもしれんな」
その言葉に、ギルヴィスが目を丸くする。
赤の王は円卓の連合国の中でも随一の戦闘力を誇る王である。その彼がここまで高く評価するということは、蘇芳という女性は紛れもなく脅威であり、そんな彼女を従えている帝国は自分たちが想定しているよりも遥かに恐れるべき存在なのではないだろうか。
しかし、そんな赤の王の言葉に蘇芳はふんと鼻を鳴らした。
「本気を出しもせずによく言う」
「それはお互い様というものだ」
にこりと微笑んだ王に、蘇芳が肩を竦める。
「食えない王様だ」
そういって次の酒に手を伸ばした蘇芳を見てから、ギルヴィスは赤の王へと視線を戻した。
「休戦、というのは?」
「詳しいことは後日、円卓会議にて話す予定だが、帝国の雇われ兵士だったスオウ殿を私が雇い直した、といったところだろうか。故に、取り敢えずは彼女が敵に回ることはないと見て良いだろう」
「つまり、逆に我らの側についたと?」
それならば僥倖だ、と思ったギルヴィスだったが、赤の王は首を横に振った。
「いや、残念ながら帝国とのいざこざに関しては加担できないと断られてしまった。だから、円卓の連合国全体を雇用主と定めて雇い直すことで、不可侵の契約だけ結んで貰ったのだ」
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