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缶の中身を半分程飲んだ頃、長岡はソファから腰を上げた。
長岡の物もまだ中身が入っているしおかわりの類いではなさそうだ。
「ちょっとテレビ弄って良いか?」
「はい。
構いませんけど…」
見ていた番組も終わり県内ニュースが次々と今日の出来事を振り返る。
そして、明日の天気を伝え始めた。
天気が悪くても大好きな長岡とのデートに変わりはないし、恵みの雨はこの地では重宝されている。
晴れなら晴れで、雨なら雨で全く問題ない。
長岡はゴソゴソと鞄を漁り、テレビの脇を覗き込んで何やらコードを繋げはじめた。
「正宗さん何するんですか?」
「カメラをセットしてんだよ。
悪いけど、リモコン取ってくれるか」
「はい」
カメラ…?
手渡したそれでチャンネル設定を変えると、大きなテレビ画面にはベッドが写る。
「これって、カメラと繋がってるんですか」
大画面に映し出されるのは、どう見ても目の前のベッドだ。
修学旅行や体育祭、文化祭で長岡が持っていたカメラを覗き込めば、テレビに自分が写る。
ラグは殆んどない。
カメラなんてスマホがあれば必要のない学生生活を送っている三条は手を翳したりと興味津々だ。
日曜日に家電量販店に行くとカメラに向かって手を振る子供がいるが、なんとなく理由が解る。
確かにこれは面白いかもしれない。
「そう。
1回“これ”してみたくてな」
「え…と……」
“これ”をしたい。
なんとなく分かる。
今、この状況で“これ”。
疎い三条でも解る。
「っ!」
肩を捕まれ1歩下がれば脹ら脛が固いものに当たった。
それでも肩を押す力は抜けなかった。
ぼふっと身体を支えてくれたベッドにドキドキは止まらない。
「遥登バック好きじゃねぇだろ。
でも、これなら俺が見えるし、俺も楽しいし一石二鳥だろ」
「ふ、普通に…普通のが…」
「俺の知ってるセックスはこれが普通なんでな」
「いつもの…」
「たまには甘やかしてくれよ」
それを言われるとなにも言えなくなってしまう。
服の裾から侵入してきた大きな手が腹を撫でる。
まさぐるような動きに性的快感を感じてしまい、小さく声を漏らしてしまう。
「ん…」
「つっても飯食ってそんなに時間経ってねぇし、まずはキスからが良いか?」
「キス…?」
「そ、身体中してやる」
それは…ちょっとしたい、かも。
三条の目が嬉しそうな色をした事を見逃さず長岡はキスをした。
「…ん、」
「酒の味すんな」
「…正宗さん、だって…します…」
「そうか。
美味い?」
なんていうか、他の意味に捉えてしまうと言うか……えっちぃ。
「もっかい」
キスにうっとりしこのまま流されても良いかと思った瞬間、浴室から湯張りが終わったと声がかかった。
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