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すれすれで保っていた境界線は、1度越えてしまうと呆気ない物で
そこからはもう、なし崩し的にだらしなくなっていった。
学校が終わった後にお互いの家でだったり、休みの日にラブホのフリータイムで一日中過ごしたり、挙句に
最近の真木は学校で、講義の間に盛ってくるようになった。
「っ…っと待って、ここで…すんの?」
「口押さえてろよ」
「ちょっ…ばっ…かじゃ…おいって…!」
あまり人の来ない、1階奥の外れにある男子トイレの個室
口でするだけ、という真木の言葉を真に受けてついてきた自分に腹が立った。
壁に向かう様に押し付けられて、ベルトに手を掛けられた時点で察しても、もう遅い。
「…お前、本当に…バカじゃねぇの…」
「お互いな。」
口に指を突っ込まれて掻き回される
真木の意図を察して、どろどろになるまで唾を絡めた。
その指が、今度は俺の後ろをなぞって、押し入ってくる。
「っ…いった、…」
俺の言葉はまるで無視され、節ばった手で荒々しく広げる様に動かされる
そして、指を引き抜かれた解放感にひくつくそこに、
俺の唾液と、お互いの物から溢れた体液だけを潤滑剤にして、無理矢理、真木の性器を押し込まれる。
「……っぅぐ…っ…!」
喉が潰れた様なうめき声が出る。
「…はは、入る、もんだな。きっついけど…」
すぐに、腰を掴んで乱暴に揺すられる
たまに通り過ぎる足音や、近づく話し声が聞こえてきて、俺は自分の腕を噛んで、ひたすら声が出るのを我慢した。
そんな事を毎日毎日、繰り返していた。
別に強制されてる訳でもない
俺が本気で拒否すればそれで済むのに、ずるずると流されていた。
たまに、手元に何も残らない様な、言葉にならない虚無感の様な物を感じては、喉にアルコールを流し込む
そして隙間を埋める様に、またセックスする
その繰り返し。
加速度的に駄目になっていってる気がした。
「もしもーし。あのライン、何?…は?ケーサツ?行けば?でもなんて言うの?
痴漢した相手にたかられて困ってます、助けてくださいって?
警察でもなんでも行ってみろよ。なんなら着いてってやるよ。
あ!?聞いてんのかコラ!いいから金持って待ってろ!」
通話相手にまくし立てる様に言う真木に、囃し立てる芳賀と駒場。
「エグイなお前」
「怖ぇーな、おい」
いつもの面々で真木の家に集まり、ぐだぐだと過ごしていた時に、真木のスマホの着信音が鳴った。
画面を開くなり舌打ちをし、通話し始めたと思ったら、冒頭の恫喝が始まった。
「…お前まだやってたのかよ」
俺の言葉に、通話を切った真木が笑いながら返す。
「まぁな。けどそろそろ潮時かなぁ。これ以上やったら本気で潰れっかもしんねぇし」
こいつ、どれぐらい巻き上げてんだろう
あの時の、あのおっさんの様子
酔っ払ってはいたみたいだったけど、相当ヤケになっている様だった。
「でもさぁ、あんまやりすぎたらやばいじゃないの?逆恨みされたりとかさぁ」
ビールを口に運びながら言う芳賀の言葉に、真木が鼻で笑う
「そん時はそん時だろ」
もう、恨まれてるけどな。
地下通路での出来事を話そうかと一瞬思ったけれど、
その後の展開を聞かれるのが目に見えているからやめにした。
通りかかった男に助けられたなんて、恰好のネタにされるに決まってる。
そもそも、話したところで何の得も無い。
「川島、なんか大人しくない?」
「…え?別に。」
「その割に飲むペースは早ぇし」
俺の前に並んだ空き缶を見て、芳賀が言った。
落ち着かなさを流し込むように、ついつい酒の量が増える
「いつも通りだけど」
「そうかぁ?」
「それ、お前らが飲んだ缶も混ざってんだろ、俺だけじゃなくて!」
俺の言葉に、あはは、と笑い声が響いた。
こちらを見る真木と視線がぶつかる。
悪趣味だ
真木は楽しんでる。
俺とセックスしているこの部屋に、あえて俺以外の奴らも一緒に集めて
俺の反応を見て、楽しんでる
ガラステーブルの上には様々な空き缶、食いかけのピザ、スナック菓子の袋
床にはコンビニの袋や空のプラスチック容器
堕落極まりないこの部屋で、俺と真木が何をしているか、何も知らないこいつらを集めて。
「ちょっと避けるか、」
そう言った真木が立ち上がって、テーブルの上の缶を腕で集めた
その瞬間ふわっと、いつもの匂いがした。
落ち着かない気分になる、真木の香水の匂い。
「シマ、酔ってんの?顔赤いけど」
「…そんな事ない」
ふーん、と口角をあげて、こちらを見る目に欲情の色を感じて、俺は目を逸らした。
「そういや久しぶりに真木んち来た気がするな」
「だよなぁ。最近、川島と真木ばっかで遊んでんだもん、俺らも混ぜろよなぁー」
こいつらの 遊ぶ、という言葉に、それ以上の意味などあるわけないのに、身構えてしまう
「気のせいだろ、そんな事ねぇよ」
なぁ?と顔を覗かれて、俺は曖昧に言葉を濁した。
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