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「このことは……誰にも言わないで欲しいです…」
「誰にも、ねぇ……」
ストローを咥えながら、フラペチーノを混ぜる男に頼み込む。
伏せ目がちなまつ毛が、窓から差し込む光でキラキラと光る。
……長いまつ毛。
そろ……と男の目と目が合う。
「そりゃ、こんな写真が周りに出たら大変だもんね」
こんな写真、と言いながらスマホを掲げる男。
「っ、」
バッチリと映る消しゴムを盗む僕に、思わず周囲を気にしてしまう。
幸い、直ぐにスマホを下ろした男に安堵する。
どうしよう。
ただの出来心だったのに。
ただの出来心。別に欲しいものでも、お金が無いわけでも何でもなかった。
その一瞬を、見られるなんて。
「……なんでも、するので」
「なんでも」
「何でもするので、消して欲しいです…」
「なんでもって、便利な言葉だよね」
コト、と男がフラペチーノを机に置く。
「っ、」
結露に濡れた指が、強ばった僕の頬に触れる。
「いいものを拾ったなあ」
頬杖をついて僕に触れる男に、僕は何も言えず視線を彷徨わせる。
いいもの?
「名前は?」
「……櫻井一葉」
「かずは。いい名前だね」
やっと指先が顔から離れる。
そこは微かにしっとりと濡れ、ひやりとした感覚が残っていた。
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