アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5
-
「一葉。このあと時間はあるかな?」
カフェから出ると、男、佐々木が尋ねる。
僕が名乗ったあと、男も名前を教えてくれた。
見る限り、20代後半の会社員。
今は16時。こんな時間なのに、どうして会社員が外にいるのか。
営業で外回りをしているなら、僕なんかに構っていないで、業績上げればいいのに。
「……あります」
「ふふっ……そんなに警戒しなくてもいいのに」
……無理だろ。
可笑しそうに目を細める佐々木に、警戒心しか湧かない。
佐々木はゆっくり近づくと、固まる俺に囁いた。
「まあいいよ。…選ばせてあげる。ラブホか、公園か、俺の家」
「な、に」
「ラブホか、公園か、俺の家」
佐々木が親切にも、繰り返してくれる。
ラブホ。聞かなくてもわかる。
「……どうして…」
「うーん、何となく。一葉が好きなところでいいよ」
……信じられない。
ラブホってことは、目的はひとつなわけで。
絶対に嫌だ。
でも、公園を選んだら公園で……やるってこと?
佐々木の家に着いていくなんて……恐ろしい。
どうしよう。
「……」
「うーん、決められない?」
「……佐々木さんに任せます…」
「じゃあラブホね、近いから」
ち、近いから……。
「歩いてすぐだし。いいでしょ、近くで」
さあ、行こう行こう、と佐々木は歩き出す。
僕は惨めな気持ちで後ろについて行った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 6