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俺が目を覚ましたとき、隣に氷雨はいなかった。
気を失った後、氷雨は替わりの服を着せてくれたらしく、いつも履いているスウェットと薄いパーカーを着ていた。
汚した服は脱衣所に持って行ってくれたのだろうか。
重たい身体を無理矢理起こし、リビングに向かうと、食欲をそそるようないい匂いがした。
「……氷雨?」
「あ、伊織。おはよー」
いつものような無邪気な笑顔を俺に向け、氷雨はキッチンに立っていた。
「朝ごはん食べられる?」
「あ、うん……」
氷雨は特別料理ができないわけではないが、俺が作ったものがいいと言って基本的に料理はしない。
朝と夜ごはん俺がいつも作っていたのに、今日はどういう風の吹き回しなんだろうか?
作りたての料理をテーブルに並べ、俺の椅子を引いて「座りなよ」と促す。
「身体、大丈夫?ちょっと無理させちゃったかなと思って」
「えっ……」
俺の腰を撫でながら、耳元で囁くように聞いてくる。
脳内で昨日のことがフラッシュバックして、俺は顔を赤く染めた。
喉が少し痛いのは、やっぱり昨日叫びまくったせいだろうか……
……夢であってほしいと思っていたが、やはり夢ではなかった……。
「ほら、食べなよ」
「う、うん……」
俺は顔を赤くしたまま、彼の言われるままに椅子に座った。
置いてあるコーヒーを口付け、ほっと一息する。
氷雨は俺の向かいの席にいつものように座った。
「それでさ、昨日言ってたことなんだけど」
「昨日?」
「“練習相手”になってってやつ」
その言葉を聞いた瞬間、俺は一気に口に含んでいたコーヒーを吹き出した。
氷雨は「汚いなー」なんて言いながら、俺の目の前で両肘をつきながら笑っている。
お前のせいのくせに……ッ!
「これからしばらくドラマCDの撮影が続くんだけど。一回きりじゃよくわかんないし?これから伊織も協力してくれるよね?」
「は、はあ!?俺、承諾してないだろ……ッ!」
「昨日あれだけ喘ぎまくって気持ちよくなってた人が何言ってんの?」
「う、うるさい!!」
だめだ、昨日のことは思い出させんな……!
恥ずかしい。
俺があんなに泣き叫ぶような奴だったとは、知らなかった。
そりゃあヤッたことなんてないから、知らないのは当たり前なんだけど。
「まあ、そういうわけだから。改めてこれからよろしく?」
氷雨は確かに悪魔みたいなところがある奴だと思っていた。
けど……
こんなに悪魔みたいな笑みは、知らない。
それがまた綺麗だと思わされてしまうところが、本当に悪魔みたいでムカつくんだけど。
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