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(着替えなきゃ…)
疲れて今すぐにでも寝てしまいたいところだが、この服は大切な「衣装」だ。皺がつく前にクローゼットに仕舞わなければ。
ウィルはだんだん気だるくなってきた体を持ち上げるように立ち上がり、ブラウスとスカートを脱いだ。だいぶくたびれてしまったが、持っている洋服の中では一番しっかりしていて、可愛らしい。
これは母が生前着ていたものらしい。祖父が大切にとっておいたのを、ウィルが譲り受けたのだ。いわば形見の洋服である。
クローゼットに洋服をしまうと、ふと鏡にうつる自分に気づいた。
貧相な体。日中は労働をしているくせに筋肉がついておらず、骨と皮だけのガリガリに痩せた、いかにも貧乏な少年がそこにはうつっていた。
顔だけは少女よりだが、エドガーの隣に並ぶような女性にはなれない。服装だけ見繕っても性別は変えられない。
そこで、ウィルはエドガーとのひとときを思い出した。
エドガーはウィルを丁重に、まるで姫君のように扱ってくれた。それだけでも嬉しくて仕方がないのに、馬車の上でキスまでもしてしまった。ウィルにとって初めてのキスであった。最初は受け入れることに精一杯だったが、あの時確かに体は火照っていた。
思い返すと官能的で胸が高鳴り、自分の雄である部分が反応してしまう。
(恥ずかしい!)
熱を抑えるように急いで着替え、さっさと眠りにつくことにした。
明日からまた一週間、仕事が始まる。淫らな行為に貴重な睡眠時間を割いてはいられない。
そう心ではわかっていても、ムズムズとして落ち着かない。
(こんなこと、ダメなのに…)
ウィルはそっと下肢部に手を伸ばした。
「あ…っっ」
熱を帯びた性器に冷たい指先が触れ、びくりとした。
性欲に関して、ルイのように旺盛ではないし、普段から極限に自慰行為を避けていたため、発散させる方法がわからない。
体をくねらせ、内腿をこすりつける。もどかしさが苦しい。
(こういう時、どうしたら…っ)
はやくこの熱をどうにかしたい。手で握った性器を上下に擦ってみる。
「ん…っん…っ」
それでも治らず、泣きそうになる。
(助けて、誰か…ロベール様…っ)
ウィルは無意識に今日触れ合ったエドガーの体温を思い出した。
頬に触れられた、手袋越しでもわかるしなやかな指先。もし、あの手で擦られたら…。
「ああ…っ!」
ウィルは背中を大きく反らせ、溜まっていた熱を放出した。
「はぁ…はぁ……」
久しい自慰行為は、ウィルに多大な疲労感をもたらした。
(ルイが帰って来る前に洗濯して着替えなきゃ…)
体が鉛のように重く動かない。無理矢理鞭を打ち、なんとか起き上がった。
熱が冷め、しばらくして下着だけ変えた後、再びベッドへ戻ってくると、エドガーに対する背徳感に苛まれた。
(僕はロベール様を、自慰行為に使ってしまった…)
淫乱な己の欲望の材料にしてしまったことが悲しくて、ウィルは静かに泣いた。
(どうか、お許しください…)
ウィルは涙を流しながら、ゆっくりと眠りについた。
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