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激震
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考え事をして歩いていたせいで誰かの机にぶつかってしまった。衝撃により上に乗っていたペンケースが床に落ち、中身が散乱してしまう。
「あ、ごめ……っ」
と、ペンを一本拾ったところで、そういえばまだこのキャラを続けるべきか微妙だったんだと逡巡する。謎の硬直に違和感を覚えたのか、席に座る少年は怪訝な瞳で見てきた。
でも、ただ驚いている様子じゃない。俺の顔をじっと見つめて、話すのを待っているようだ。
そこで初めて気付いた。めっちゃイケメンだ……。
「あっ……」
謝らないと、と思うのに、体は意思に反して教室の外へ向かってしまった。
ひえー! やってしまった!!
さすがにペンケース落としてぶちまけて無視は駄目だろ……っ!
廊下でひとり頭を抱え、心の中で大絶叫する。その時頭になにか固いものが当たった。
ひぇー! やってしまった!!
焦り過ぎて、彼のペンを握り締めたまま立ち去ってしまった。返さなきゃ!!
しかしちょうど昼休みだ。腹が減っては戦はできない。売店に行って、飯食いながら良い謝罪を考えよう。
今は五月。でも、ウチの学校は進路の為もうすぐ午前授業に切り替わる。昼が食べられるのもあとちょっとだ。
爆弾みたいなおにぎりを頬張りながら、あの少年のことを考えた。たらこが美味い。そして彼の名前は何て言うんだろう。
中庭にはベンチがあったので、そこで昼休みを過ごすことにした。ひと息ついたと同時に、足元に影がかかる。
「ひとり?」
反射的に声のする方へ向き直る。そこにはさっきのイケメンがいた。
「うわっ!」
驚き過ぎて仰け反る。その拍子に、膝に乗せてた未開封のおにぎりが転がった。けど地面に落ちる寸前で、彼が素早く受け止めてくれた。
「あー、危なかった」
「……っ!!」
反射神経良い……じゃない! お礼、いや謝らないと……ええと……!(最近まともなコミュニケーションを取ってないので言葉が出てこない)
口を開いたまま固まる俺の手に、彼はおにぎりを乗せてくれた。
「ペン返して」
「えっ。あ、ポ、ポケットに……」
今返す、という意味で言ったのに、何と彼は俺のポケットに手を突っ込んできた。しかも何故か尻ポケット!
「いやっ……ちょ、くすぐった……」
「ないじゃん」と、彼は俺のもうひとつの尻ポケットにも手を突っ込んできた。そこにペンなんか入れるわけねーだろ! と一喝しそうになった時、とうとう前のポケットに手が伸びる。目的のペンは出てきたが、何故かもう片方の手は腰から離れない。
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