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名前
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何が何だか分からなくて、そのくせ悔しくて恥ずかしい。色んな感情が綯い交ぜになって嗚咽した。
こちらの気持ちなど知る由もなく、彼は汚れた部分を優しく拭いてくれた。それからわざわざ体操着に着替えさせてくれた。でも下着は返してくれなかった…………。
「あれ、カオナシと光義(みつぎ)って仲良かったっけ」
一緒に体育館へ行くと、クラスメイトに声を掛けられた。
光義?
何か、どっかで聞いたことある……ような。
彼を見上げて、恐る恐る尋ねる。
「下の名前……」
「ん? 絢斗(けんと)」
光義絢斗。あれ……待て待て、昔そんな奴がいた。俺の頭の中に。
「光義? 小学校の時に一緒だった……!」
「良かった、覚えてた? 俺は最初から気付いてたけど」
雷に打たれたような衝撃だった。
間違いない。まだこの町にいた時、一番仲が良かった近所の友人の名だ。引越しをすると言った時、一番悲しんでくれた子。
名前が珍しいからすぐに分かった。でもそれは多分向こうも同じで、俺の名前が珍しいと笑ってた……あいつか!
「何で言ってくれないんだよ!」
ていうか、何でそんな変態になってしまったんだ。
「だって、望が全然気付かないから。逆にちょっと虐めてやろーって思って。あ、下着フェチは本当だけど」
光義は腕を組んで壁にもたれかかった。しかし酷い、酷過ぎる。
「最低! 変態!」
「お前だって。ちょっと触られただけで、やだやだ言いながらイッたじゃん」
それは地雷だ。羞恥心で意識が吹っ飛びそうになる。
なにか言い返してやろうと思うと、先生がやってきた。
「光義、体操着に着替えてないのか」
確かに、彼は結局トイレで着替えず、制服のままだ。
「はい。実はさっき転んじゃって、脚も痛くなってきちゃって」
と、彼は絆創膏が貼られた手を翳す。
「じゃあ今日は休むように」
「はーい、ありがとうございます。……ってことだから、望は頑張れよ。あんまり激しい動き出しすんなよ」
「……っ!」
本当にノーパンで体育に出なきゃいけないのか。
よりによって内容は器械体操。マットの上でひっくり返ったり、平行棒に乗らないといけない。
あああ、俺も休みたい!!
皆は知らないけど、光義だけは優雅に、ニヤニヤしながら俺を眺めるだろう。ノーパンであそこをぶらぶらさせ、その羞恥心と格闘してるさまを。くそ、ぶっとばしてえ。
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